2012年03月03日
トリーター:北嶋

航海後日誌


下船して 5日経ちました。
航海日誌 は読んでいただけましたでしょうか。
一緒に下船したシロウリガイやシンカイヒバリガイなど相模湾の深海生物たちは“えのすい”の深海コーナーで元気な姿がみられます。

これらの生き物は、ほかの水族館などではお目にかかれない非常に貴重なものです。潜水艇を使わなければ入手できない、ということもあるのですが、長期飼育することが難しい種類が多いためです。
“えのすい”では飼育方法を研究しながら、みなさんにもその一部を展示として紹介しています。
ですから、同じ種類のものが別の水槽にもいたりします。
いくつか条件を変えて飼育することによって、どのような方法がよりよいのか、を知るためです。
解説で水槽に何を入れているのか少し説明しているところもあるので、どの水槽が一番元気か、見比べてみると面白いですよ。

“えのすい”の飼育研究については、結果が出たら、水族館の展示でだけでなく、外へ出かけて発表をしています。
つい先日、私が船に乗っている最中にそのような機会がありました。
JAMSTECのシンポジウム「 ブルーアース 」です。
今年は深海担当の根本トリーターと杉村トリーターが参加しました。私は、乗船前日終電まで粘ったポスターを杉村トリーターへ託して相模湾で成功を祈っていました。(杉村さん、自分の発表もあるのにありがとうございました!)
発表した内容は、先日の根本トリーターの日誌 にも出てきた深海の農夫、ゴエモンコシオリエビについてです。

ゴエモンくんは、自分の胸毛(背毛もある)で育てたバクテリアを餌にしているわけですが、これまでの飼育では、このバクテリアしか食べないと思っていたのです。しかし、餌をあげてみたところ、飼育を始めて 3か月くらい経った頃、ハサミで持って食べたのです!そろそろ食べるんじゃ・・・とカメラを構えたときに予想通りの行動を起こしてくれたので、そのときは興奮して、まわりに動画を見せびらかしてしまいました。何年か前に、水槽で一緒に飼っている「シンカイヒバリガイをたべていたよ!」と今井トリーターがいっていたことがあったのですが、誰もが信じていませんでした。今井さん、ごめんなさい。どうやらバクテリア不足で餌に困ると食べるみたい?と思っていたのですが、継続観察しているとどうも違うみたいです。ブルーアースでは他の研究者からヒントになりそうな発表もあったみたいです。
今後も注意深く観察を続けながら、違う角度からも調べた方がよさそうです。

先入観をもつのは禁物ですね。

深海コーナー深海コーナー

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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