2012年03月03日
トリーター:足立

恋が叶う貝殻のない貝


相模の海ゾーン2Fでは「恋が叶う貝殻展」を開催中ですが、そこまでたどり着く前の、入場して階段を上がったところに、‘恋が叶う貝殻のない貝’を展示しています。

ハダカカメガイ、通称クリオネ(学名のClione limacinaに由来しています)です。
クリオネは、サザエやホラガイなどと同じ、巻貝の仲間に入ります。成長の途中で貝殻がなくなり、あの天使のような姿になるのです。
成長の途中で貝殻がなくなる巻貝の仲間といえば、ウミウシの仲間たちがすでに有名かもしれませんが、ウミウシがそのまま海底を這う生活をしているのに対して、クリオネの仲間たちは、翼足(よくそく)を使って水中を羽ばたくように浮遊する生活をしています。
英語では、ウミウシSea slug=海のナメクジ、クリオネはSea angel=海の天使と呼ばれ、「牛」と「天使」ではずいぶん雰囲気が違うなあという感じですが、クリオネの学名の種小名limacinaは、ラテン語でナメクジを意味するlimaxから来ているとのことなので、結局のところ一緒なのですね。

なぜ恋が叶うのか?それは、クリオネ→Sea angle→天使→キューピッド→恋のキューピッド! だからです。クリオネをみて、「うわ♪」と心が動いたら、それはキューピットの金の矢で射られた証拠です。でも、恋のキューピッドはちょっと気まぐれなので、最後のひと押しは、当人のココロイキで!

キューピッドは背中に羽の生えた子どもの姿が定番ですが、ローマ神話を辿っていくと、もともとは髭の生えた男性だったり、古代ギリシャでは、背中に羽を持った力強い男性だったりします。かわいい→強い。元が勇猛な男性なら、クリオネが摂餌の時に見せてくれる、ちょっと怖いバッカルコーン(口円錐と呼ばれる六本の触手。それで餌を抱え込むようにして養分を吸収します。「天使が悪魔になる」などともいわれる、かなり衝撃的な瞬間です)も、納得がいきますね(←ムリヤリか?)。でも、ちょっと勇気が湧いてきませんか?

恋愛成就には、「押し」も必要だ、という落ちに・・・なりますよね?!

ハダカカメガイ(クリオネ)ハダカカメガイ(クリオネ)

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