2012年03月11日
トリーター:足立

「クリオネ」がおしえてくれること


貝の特別展を催・・・開催中です。
「不思議な貝の仲間たち」(~ 3/14)、「恋が叶う貝殻展」(~ 3/31)、「泳ぐ貝の展示」(~ 3/14)、「見たカイ?貝の顔展」(~ 3/31)の 4本立てですが、全てにおいて主役を張れる貝を、入場して階段を上り切ったところで展示中(~ 3/15)です。

その貝の名は“ハダカカメガイ”。“クリオネ”です。

クリオネは、一見貝とは思えない不思議な形だし、「天使」と呼ばれるからには恋を叶えてくれそうだし、貝なのに泳ぐし、そんな貝なので、いったいどんな顔をしているか気になりますよね。
有名になったのはいつ頃からだったか。
新江ノ島水族館でも、これまでに何度か展示をおこなってはいますが、身近な生きものとは言い難いクリオネのことを、実は私、ほとんど知りません。と、宣言するだけでは進歩がないので、今回は、図鑑を見たり、インターネットで検索したりして、情報収集をしてみました。
大きさは 2mmぐらいから 4cmぐらいまで。
雌雄同体ですが、自家受精はできず、2匹がお腹とお腹をくっつけるようにして交尾します。
交尾から 4時間余りで、雌役になった方が産卵します。
顔のように見える部分は、実は「口」です。
ここがパカッと開いて、6本の触手を出し、餌をとらえます。
餌は、ミジンウキマイマイのみとされていますが、オキアミなども食べるという話もあります。
目はありませんが、てっぺんにある 2本の角のような触角で、周囲の環境を察知します。
ずっと泳いでいるわけではなく、沈んでじっとしていることもあります。
体の構造や分布域などは、図鑑などの専門書に載っていましたが、行動に関することなどは、詳細な記述がなく、むしろご自宅で飼育をされた方のブログなどがとても面白く、参考になりました。
生きものをよく知るには、やはりその生きものを身近に観察できるということが理想かもしれません。
水族館で働く醍醐味のひとつは、珍種も普通種も、いろいろな生きものをとても身近に観察できることだと思います。

これからも、私が感じた「!」が、お客様の「!!」になるよう、展示の工夫を続けてゆきます!


ハダカカメガイハダカカメガイ

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