2012年06月23日
トリーター:植田

サンゴ?それともイソギンチャク?


担当している水槽から最近の話題を一つ。
私が主に担当している水槽の中に、南の海のサンゴ礁の水槽があります。クラゲファンタジーホールの先の展示区画の中の、サメの水槽の左となりの水槽です。
この水槽の中で、最近徐々に展示生物として加えているのがサンゴの仲間です。
一口にサンゴといってもさまざまな種類があり、姿かたちも千差万別です。
ただ彼らはクラゲと親せき同士、同じ刺胞動物門(しほうどうぶつもん)に属しています。
クラゲの一生のうちには、ポリプと呼ばれる岩などに付着して暮らす時期がありますが、そのポリプのままで一生の大半を暮らし、おとなになるのがサンゴたちです。
この水槽はサンゴ礁水槽とは呼ばれていますが、住人の中でひときわ目を引くのは、サンゴではなくてイソギンチャクたちです。
ではサンゴ(造礁性のサンゴ類)とイソギンチャクはどこが違うのでしょうか?

サンゴというと、みなさんも硬い石のような塊をすぐ想像されると思います。
この材質は炭酸カルシウムで、造礁性のサンゴ類はこの硬い骨格を造り、軟らかなポリプはその中に収まっています。

一方イソギンチャクの仲間は、そのような骨格を持ちません。
例えば私たちが軽く指先でこれらの生物に触れてみますと、サンゴの場合はポリプを縮めて骨格がむき出しとなりますが、イソギンチャクの場合はポリプを縮めても骨格は現れず、ただの肉の塊 ― いわゆる巾着型の肉の団子になります。

造礁性のサンゴは、彼らが棲んでいる海域の水質を示すバロメーター役となります。
特に最近話題となっているのは地球温暖化による海水温上昇です。
海水温がある限度より高くなるとサンゴに共生している藻類(褐虫藻 かっちゅうそう)がサンゴ本体から消失してしまい、最後はサンゴ自身が死んでしまうといわれます。
今年の 4月から毎月数群体ずつサンゴを増やしていますが、サンゴの健康維持のため、展示水槽の温度は 24℃前後に保っています。

サンゴ礁水槽サンゴ礁水槽

太平洋

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