2013年03月26日
トリーター:今井

想像を超える変化


時折、自身の失敗談([2009/ 09/ 17 魔の三号室]など)を水族館に絡めて書かせて頂いているが、今回は十数年越しに、先日完結したお話である。

以前、私がまだ別の職場に勤務していた頃、屋外トイレの便器の落ち込みに、大きな土塊(つちくれ)が沈んでいたことがあった。
「子供の悪戯か~?」
「こんなもん流されたら詰まってしまう。お客さまが使わない内に取り除かねば!」
覚悟を決め、腕まくりして、一気に掴むと「あ゛ぁぁぁ~・・・本物・・・」

当時は、ようやく運を掴んだねと、からかわれたりしたものだが、未解決であった。
「いったい何だったんだ、ありゃ?」
「あんな大きな穴の持ち主って・・・、何かの選手かな? ハスキー犬(当時はよく見かけた大型犬)かな?」
長い年月が経とうとも、ずっと引っ掛かっていた。

ところが、先日、子供のオムツを替えた時である。
「あっ!小さいけどアレだ!!」
「そっか~。動いているとオムツの中で、時間とともにあんな形になっちゃうんだ!」
おそらくは、処分しづらい便だけを流されたのだろう(流れてなかったが・・・)。
遊びに夢中な体格の良いお子さんを想像しながら、ようやく謎が解けた。
世の母親なら、すぐ分かったものかも知れないが・・・、己が無知であった。

さて、想像以上に形が変化すると、パワープレイでもっていえば、現在、相模の海ゾーンの沿岸水槽では、アナゴ類の “レプトケファルス” 幼生を展示中である。

[大きくなったら何になる?アナゴ?ウツボ? 「レプトケファルス幼生」展示中!]

大きさは 10cmほどで、透明のヤナギの葉のような姿だ。
この時期はひらひらと水中を漂っているのだが、発育が進むとわずか数十時間の内に変態し、薄灰色の小さなアナゴの姿になってしまうのだ。
知らないと、入れた覚えのない小さなアナゴが突然出現するので、びっくりさせられる。
レプトケファルス幼生は、次々に変態し始めている。ぜひ、ご覧いただきたいものである。

ただ今は、~オムツは子供だけじゃない~という一言が、胸に深く刺さっている。

 アナゴの幼魚 アナゴの幼魚

相模湾ゾーン

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