2014年07月16日
トリーター:石川

一年の計は換羽にあり

換羽中換羽中

今年はいつもより早めの今がペンギンたちの換羽最盛期となっています。

フンボルトペンギンでは 1年に一度全身の羽が抜けかわりますが、鳥類ではこの換羽期が前年の状態から新しい状態へリセットできるチャンスでもあります。
(ちなみにペンギン類や走鳥類は全身に羽毛が生えていますが、通常鳥類は全身に羽は生えていません・・・)

野鳥では餌が不足しているような時は繁殖を抑制し、餌が豊富である時は生殖機能を増長させて環境変化に対応していく生理的な機能なのだと思います。
養鶏では強制換羽や誘導換羽というコントロールをおこなうことで、産卵が不振であった鶏の生殖周期を一旦リセットさせて再び産卵を促すというようなこともおこなわれているようです。

おととしは換羽前の体重増加が思うように行えず、そのあとの産卵に影響が出てしまったため、昨年は十分栄養を与えて、換羽させたので、その後の繁殖も順調でした。
今年も昨年同様に換羽を迎えるべく、個体ごとに調整しながら餌を増量したりしてコントロールしています。
ただ、繁殖期が長引くと必然的にその影響も出てしまう為、餌を増量して体重を上げたいのに、増量に対応できないため、思うように体重が上げられない個体もいます。
こうなると、換羽に入る際にその個体の適正な体重までに至らず、換羽が始まってしまい、その後に影響が出る可能性もあるわけです。
また、体重を上げればいいわけでもなく通常 4,500gほどの体重の個体だと 5,000g後半まで体重が上がります。その間は動きも緩慢になり、ペンギンの疾病で趾瘤症という脚にできる病気になりやすい時期でもあります。換羽だからといって全く動かないことが良いわけでもなさそうです。

さて換羽前のペンギンは残り 3羽です。
ちょうど夏休みに一年で一番きれいなペンギンがご覧いただけそうです。

そして換羽が終われば繁殖モードへ入り、ペンギンたちの動きも活発化してきます。

今年の夏はペンギン観察がお勧めです。

ペンギン・アザラシ

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