2014年07月17日
トリーター:佐野

子ガメ旅立つ

子ガメたちの旅たち子ガメたちの旅たち

7月 15日、40個体でおこなう最後の身体測定を実施しました。
平均の甲らの長さ約 289mm、平均体重 1,930gでした。
というのも同日、バックヤードで暮らしていた子ガメたち 34個体が両親の出身地、沖縄へ出発しました。
ウミガメ協議会の方々にご協力いただき、黒島の砂浜、及びリーフから 24個体が放流されました。
残りの 10個体はウミガメ協議会の黒島研究所で、もう少し大きくなるまで現地の水で蓄養していただきます。
放流の詳しい内容は放流に同行した戸倉トリーターと北嶋トリーターがお話ししてくれるかと思いますので、私からは子ガメのこれまでと、子ガメたちへのメッセージをお話しさせてください。

はじまりは 2013年 9月 2日の朝、まず 1個体目が発見されました。
まだ出てくるかもしれないと様子を見ていると、その翌日にはさらに 1個体が、その 2週間後には 43個体が脱出してきました。
4年間の飼育係生活で最も印象的な出来事となりました。
それからの毎日は目を見張るスピードで成長していく子ガメたちを、いかに今できる最善の方法で元気に育てるか、格闘の毎日でした。
太陽光はどう確保するのか?
咬み合いの防止策は?
冬場の水温は?
餌は?
成長に伴う飼育空間の確保は?
そんな時に飛び込んできた“えのすい” 10周年ウミガメの浜辺プロジェクトの知らせ。
飼育係だけでなく、“えのすい”職員みんながてんてこ舞いでした。

迫り来る締切、想定外の出来事、くたくたでした。
でも、そんな時、一挙一動が一生懸命な子ガメたちを見ると、こんなことでへばってられるか!自分も頑張らねば!!と力が湧いてきました。
この小さな命が今回の 10周年のプロジェクトの大きな原動力となったことは間違いありません。

34個体が旅立ち、バックヤードの水槽は空っぽになりました。
カメの数が減った分、作業は格段に楽ちんになりました。しかし、なんだか空虚な感じです。
今はまだ空っぽになった水槽に慣れません。
とはいえ、残ったNo. 3~ 9の 6個体の子ガメたちはきょうも元気に泳いでいます。
ぼーっとはしていられません。
この子ガメたちと、まだまだこれからたくさん挑戦していきますよ!

何十年後かに“えのすい”生まれのタグを付けたアオウミガメが産卵調査で発見されたなら、これ以上うれしいことはありません。
厳しい自然の中で、何個体かは命を落とすかもしれません。
今はただ、彼らの無事を心から祈っています。
1年にも満たない期間だったけど、飼育係としてたくさん勉強させてもらいました。

どうもありがとう。広い海でも元気でね。

ウミガメの浜辺

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