2015年03月12日
トリーター:根本

メンダコ 16日目

毎朝、開館前に展示水槽の見回りへ行くのですが、メンダコの水槽を覗くときは少しドキドキです。可能であれば誰かに偵察を頼みたいくらいです・・・。
心の準備を整え、心の中で「めくれていませんように・・・」と唱えてからのぞき穴からようすを見ます。

メンダコの生態についてはまだまだ謎ですが、飼育経験から状態が悪化している時だけはわかるようになりました。体が立ち、厚みが増し、吸盤が見えるくらいに反り返ってしまうともうダメです。水槽の底の一部のようにベトッと張り付いていればとりあえず安心です。
今朝もとりあえず平たくなっていました。大丈夫なようです。

ちなみに「良い状態」については、よく解りません・・・。飼育下での観察や他館の方のお話をまとめると、底で平たくなっているのが「よい状態」ということになります。
海底でどのように暮らしているのかが見られるといいのですが・・・、と、そのような時に役に立つのが「国際海洋環境情報センター(GODAC:ゴーダック)」のwebサイト!
[ 国際海洋環境情報センター(GODAC:ゴーダック) ]

JAMSTECの「しんかい6500」やさまざまな探査機で捉えた生物の映像が公開されています。
検索すると「メンダコの仲間」は 3つの写真と 8つの映像がヒットし、見てみると泳いでいるものも底に張り付いているものもいます・・・。潜水船のライトや機械音の影響もあるでしょうから「普段のメンダコのようす」かどうかは何ともいえませんね。

それよりも驚くことに、ほとんどの映像が水深 1,000mを越えています。深いものでは水深 4,929mのものがあります。映像の個体が飼育個体の種と同じとは限りませんが、全体に我々が底引きで採集する水深よりも深いです。地域的に近い相模湾の映像もありますが、水深 1160mでした(「しんかい2000」撮影)。低温での飼育が向いているのかもしれませんね。
“えのすい”で採集したのは水深約 300mですが、展示はその水深帯よりもやや低めの7℃、バックヤードは 11℃で飼育しています。

きのうの給餌ですが、“微妙”でした。
月曜日に初めて餌を食べてからの 2回目の給餌です。
反応はまずまず良いのです。掴んで口元に持って行く行動は 2度見せましたが、食べたかどうか怪しい雰囲気があります。なにせ落ち着きが無いのです。

口元に持って行く行動のその前後は、激しく泳いでしまっています。このようなときは口元で餌を離してしまっていることが多いのです。餌が残っているかが確認できればいいのですが、なにぶん水槽が暗くて飼育員にもよく見えません・・・。またメンダコの下敷きになっている可能性もあります。
今回のところは、「食べたかもしれない」と言った結果でした。バックヤードのメンダコは全然ダメでした。まだ嫌がっているようです。殻を剥いて与えたときは少し良さそうな反応が見られましたが、掴むところまではいきません。
こちらもコツコツ頑張ってみます。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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