2017年05月17日
トリーター:唐亀

あなたはだあれ?

今年の 3月、開催イベントに参加されたお客さまが、ご自宅の水槽に突然現れたエフィラを持ってきてくださいました。天然海水を使用しているそうなので、混入したものでしょうが、ある程度まとまった数なので水槽内にポリプがあるのでは?とお聞きしましたが、ポリプらしきものは見当たらないとのことでした。

このエフィラは径 2㎜程度。体色は白く、感覚器とは別に明瞭な赤い点が見られます。皆に聞いても分からないのですが、過去に一度江の島で採れたことがあるということです。その時の個体は育たなかったそうです。

適温が分からなかったので、発見された水槽の水温に近い 19℃程度でようすを見つつ飼育を始めました。餌はブラインシュリンプ、コペポーダ、ワムシ等を与え、基本的には他のクラゲと同様におこないました。

傘の径が 5~ 6㎜位になると口腕が伸びてきました。他のクラゲと違い、傘のふちがエフィラの時とあまり変わらず切れ込みが残っています。傘の径が 1㎝になる頃にはかなり長い触手が 4本伸びてきました。この頃には赤い点はややぼやけて、体色は全体に白くなってきました。アカクラゲやシーネットルの系統にも見えたので、ミズクラゲを与えると取り込みました。

傘の径が 2㎝を超えると、体色はやや透明がかり上から見ると特徴的な模様が見えます。触手は 8本になり、口腕はリボン状に伸びてきました。傘の表面には顆粒状のぶつぶつがたくさん見られるようになりました。傘がやや丸みを帯びて、オキクラゲのようなシルエットになってきました。

現在、一番大きな個体は傘の径が 6㎝ほどになり、生殖腺が発達してきました。上から見ると「田」のように見えます。触手は 8本で付け根は幅広く、60㎝位の長さになります。傘の顆粒状はとても目立ち、傘の表面は薄い紫色を呈しています。

現在、九州地方で採集されたオキクラゲを飼育中で、卵を産み、エフィラも育成中です。クラゲもエフィラもこのクラゲとは違います。オキクラゲは、もともと数種類に分類されていたものが、まとめられた経緯があるそうです。このクラゲもオキクラゲなのでしょうか? 何ともはっきりしません。オキクラゲはポリプの時期がないので、外国からの珍客なのでしょうか。



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