2017年08月18日
トリーター:伊藤

今週のおすすめ

ダンゴイカ科の一種の赤ちゃん
たぶんミミイカです。卵からここまで育ちました。すごいです。
イカ・タコの育成は難しく、手間がかかるものです。
私が入社して間もない頃、同期のトリーターがコウイカの卵を育てようと頑張っていたのが思い出されます。餌を食べていてもぽつぽつと死んでしまい、なかなか成体までいかないのです。
そして実は、今回の数か月前にもミミイカの卵を育てようと後輩トリーターが頑張っていましたが、ほとんど育たず「やはりイカは難しいな・・・」と思っていた矢先でした。

育て上げたのは、普段はショーの会場整備などを担っている若手二人です。
繰り返しになりますが、すごいですよ、お二人!
入念に生餌の確保や水底の掃除をおこなってくれていました。海産生物の卵稚仔育成は餌だけ十分に与えて「あえて放っておく」のが良いケースもありますが(シラスなどはむしろそっち)、今回のイカに関しては、手間を惜しまず水槽内のメンテをし続けたのが良かったのでしょうね。

相模湾キッズ水槽にいます。よく似たコウイカの仔もいますので一緒にご覧ください。
砂に潜るのが大好きで、イカの全身がご覧頂けない場合がありますが、お許しください。
「イカなのに砂に潜る」ことこそが本種の最大の特徴なんです。砂が盛り上がった部分をよーく探すと、目があるのでわかりますよ。

ここで、育成を担当したお二人の生の声をお伝えします。
「砂の中で目と腕だけ外に出していてカワイイ!」
「自分の体に砂をかける必死な仕草がかわいい!!」
「そのすべてがカワイイ!!! ぜひご覧ください!」


ワカメとアラメ

岩礁水槽の海藻たち、今年の夏は例年にも増してフッサフサです。直前に植えたわけではありません。
本展示は開館当初から「海藻を主役に」と目標を掲げています。代々の担当者がそれを引き継ぎ、試行錯誤を続けた結果、いろいろな海藻が自生してくるようになりました。
そんな中、私たちが担当になってから実施したのは、夏もあえて水温を低く保つことでした。「海藻には水温変化で季節感を出した方が良い」と忠告されたこともありましたが、少しでも海藻の劣化が早まるようなら方針を変えればよいか、とかまえて続けました。
狙いは当たり、相模湾で夏に見られることはまずない、大きなワカメ(胞子体)が次々と自生してきます。
実は全くの直感ではなく、ヒントもありました。水産関係の研究で、ワカメをもう一つの小さな姿(配偶体)から養殖するための成果が公表されており、その中に水温について記されていたのです。
もう一方のアラメ、こちらは課題があり、水槽に導入した株が水槽内で放出したらしき胞子が水槽内で芽吹くのですが、どうしても育ち上がってくれませんでした。そんな中、水槽の右上! 小ぶりですがアラメらしく二股に分かれた形、仮根をよくみると、岩に括るためのバンドがありません! 本水槽でここまで育ったのは初めてです。育ち上がった位置の環境が良いことは確かです。この調子で、水槽内で自然と大型海藻が自生してくる状態を目指したいです。

相模湾ゾーン

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