2018年06月14日
トリーター:杉村

“えのすい”初!! ダイオウグソクムシの脱皮を確認!!

2018年 6月 14日、本日“えのすい”初のダイオウグソクムシの脱皮が確認されました。

朝 7時 40分ころ、いつものように水族館に出社して水槽の生き物たちの確認をしていると・・・水槽のど真ん中に体が半分になったダイオウグゾクムシが!!


見た瞬間!! 
ああっ! なんという形で死んでいるんだと思ってしまい、愕然としてしまいました。
・・・ここしばらくの間、動きも良くなかったので調子が悪いのかなあと思っていたこともあって、まさか脱皮とは思いもしませんでした・・・

でも、よく水槽内を見てみると 1匹多い・・・
ええっ! まさかの脱皮?!

冷静になって半分になった殻の中を見てみると中身がなさそう。
そして、水槽には体半分だけ色の違うダイオウグソクムシを見つけた瞬間、脱皮したことに気づきました!!


これは、2016年の鳥羽水族館に次いで国内で 2例目の脱皮だと思われます。
どうやら、昨夜のうちに脱皮し終わってしまったようで、脱皮のようすを撮影することはできませんでした。
水槽内をごく暗い状況で飼育しているため、脱皮の予兆を感じ取れなかったことはちょっと残念でした。
前例にて観察された脱皮と同じように、前半部の 5節だけ残して 1回目の脱皮を終えています。
※全部で 14節あって、今回脱いだ殻は後半部の 9節です。

脱皮殻は、真っ白でとても綺麗です。
脱皮殻は意外にもろく、水槽から上げようとするとバラバラになってしまいそうで、さらに胸脚(足の部分)は、ちょっとの力で潰れてしまいました。


ダイオウグソクムシのような等脚目の仲間(ダンゴムシの仲間)は、体内のカルシウムを調整して半分ずつ殻を脱ぐことが知られています。
ここからしばらく時間をかけて、脱皮した後半部を硬化させて、残りの前半部の脱皮が行われる可能性があります。
これまで、完全脱皮についてはまだ確認されていないと思われます。
いつ、前半部分の脱皮が始まるのか、また完全脱皮に成功するのかはまだ分かりません。
今後、完全脱皮に向けてどのように変化していくのか、注意深く観察を続けていきたいと思います。

今後、観察を続けることで謎に満ちた深海生物「ダイオウグゾクムシ」の生態が少しでも明らかになることを、期待したいと思います。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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