2018年09月21日
トリーター:寺沢

夜の私のひみつ

たった今、苦手な「夜のカワウソのひみつ」の話を終えて、5分後の「夜のペンギンのひみつ」に備え、右手にカワウソプール前の二重三重の人垣を見ながら、今回で最後とばかりに、仕込んでおいた、いくつかの小ネタの出来に満足し、一人悦に入りながら、左へと歩みを進め、一瞬、考えた。

もしかして、さっきより、人が集まってる?

そんな訳はない、とばかりに、館内で行われているその日のイベントを告知する、モニターの前へ。その時、5時 45分。

本日の「夜のカワウソのひみつ」、5時 45分。

きょうは平日時間か、と合点しながら、今来た道を急いで戻り、階段を駆け下り、再び、充電中の電池を 6本、CDのデッキに装着して、カワウソ用のパネルを 3枚持って、「催促の電話きてるよ!」の言葉を大きく背に受けて、26段を駆け上がり、人込みを掻き分け、マイクを着けて、呼吸を整えるように、奥歯を噛み締め、ゆっくりとしたペースで、本日 2回目の「夜のカワウソのひみつ」を、小さく終えた。

思い起こせば、いろいろとあった、カワウソの話。

最初のころは、個体名を間違えたり、CDのデッキがフリーズして音が出なかったり、挙句の果てには、デッキから電池が音をたてて転げ落ち、隣のお客さんが「あっ!」と声を上げるのを尻目に、その時は、なぜか、冷静だった、私。

カワウソとペンギンの話だけにしておけばよかったのに、「夜のひみつ」お試しキャンペーン中とばかりに、アザラシとイルカの話にも勝手に登場したり、と。
意外と楽しかった、今年の夜の水族館。

そんな「夜の動物のひみつ」が見られるのも、もう少しだけ。

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