2019年03月15日
トリーター:今井

餌付け棒

展示裏の水槽横には、餌付け棒というものが置いてあります。名前の通り、生き物に給餌する道具で、その水槽に見合った性質のものに改良されています。

水深よりやや長い方が便利ですが、水面上にもスペースがないとうまく操れません。
先には、主にステンレスの針金が付いていて、生き物の習性、餌の種類などに合わせて太さを変えていて、特に目立たないように硬い釣糸を使う場合もあります。

こだわってしまうと、浮力や水の抵抗、重心などを考慮して作成して、やり過ぎたと思っても、タカアシガニに使う数mあるようなものは、その使いやすさが顕著に出るものです。
マニアの方なら、釣具店にて微妙な柔らかさの穂先などを利用されることもあろうかと思います。しかし、水族館ではいろんな人が作業に使うので、普段は折れた釣竿を再利用しています。
先の方も、生き物が警戒しないように目立たない色と細さの素材が必要ですが、鋭さがあると、餌めがけて突進した魚を傷つけてしまうので、丸みや柔らかさを付けています。

ある意味失敗談ですが、アマダイやチカメキントキに餌付け棒で給餌をしたとき、少し長めの針金を使ったら、なぜか刺した餌よりも針金の根元に喰らいつくばかりで、うまく給餌できませんでした。おそらくエビ類の触角に見えてしまったのではないかと思っています。

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