2019年04月24日
トリーター:山本

クラゲを食べるミズクラゲ

ミズクラゲミズクラゲ

ちょっと前に、自分の中でとっても大きな発見をしたのでそれをご紹介します。
ある日、いつものように江の島でクラゲを採集していたら、ミズクラゲのエフィラとコツブクラゲが採れました。


ミズクラゲのエフィラ
みなさんご存知ミズクラゲの幼きころの姿


コツブクラゲ
1㎜ほどの小さなクラゲ

採れたクラゲは、基本的にクラゲ生産室に持ち帰るまでは同じ容器に入れております(他の小さなクラゲを食べてしまうものは別の容器に分けます)。
生産室に戻り、いざ採集したクラゲを顕微鏡で見ようとしたら、あれ?コツブクラゲが見当たりません・・・。
コツブクラゲを食べてしまうような生き物は入ってないし・・・
でも何だかエフィラの胃の中に何か入っているな・・・
え、もしかして食べちゃった??

“えのすい”においてミズクラゲは、展示だけではなく、クラゲを食べるクラゲたち(アカクラゲ、オキクラゲ、アマクサクラゲ、パシフィックシーネットル、インドネシアシーネットル等々)の餌の役割も果たしています。つまり、クラゲに食べられる側のクラゲです。そのため、私の中でミズクラゲが他のクラゲを食べるというイメージがまったくありませんでした。

まさかね・・・と思い、採集してきたエフィラの口に、元気のなくなってきたコツブクラゲをくっつけてみると・・・食べた!!!
試しに、生産室で育てているミズクラゲのエフィラにもあげてみましたが、あっという間に食べてしまいました。
考えてみれば、ミズクラゲが属する「旗口クラゲ目」には、他のクラゲをバクバク食べるようなクラゲがたくさんいます(特に近縁なものでいうとアマガサクラゲとか)。ミズクラゲが他のクラゲを食べることは不思議なことではないのですが・・・思い込みってよくないですね!
ミズクラゲも意外とクラゲ界では恐れられているのかもしれません・・・

自然界では、常にさまざまな生き物の間で「食う・食われる」の関係が成り立っています。言葉では「さまざま」と簡単に表すことができますが、魚・ヒトデ・タコ・イカ・動物プランクトン・植物プランクトン・・・・・・海にはとてつもない種類の生き物たちが暮らしています。
ですので、その中のほんの一つであるクラゲ同士の「食う・食われる」の関係が分かった所で、海から見たらとーーーーーーってもちっぽけな話かもしれません。しかし、私がぼんやりと生態系というものを考えるうえで、新たな視点を与えてくれた、とっても大きな発見だったのでした。

クラゲサイエンス

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