2019年05月17日
トリーター:笠川

苦い思い出

今、クラゲサイエンスで展示しているチョウクラゲ。羽ばたくように泳ぐ姿が何とも不思議で魅力的なクラゲです。クシクラゲの仲間であるため、櫛板が光に反射するととてもきれいです。
見た目も動きも名前もかわいらしいこのクラゲですが、実は、私にとっては、少し苦い思い出があるクラゲです。

クラゲ担当になって 2日目くらいのある朝、先輩トリーターにチョウクラゲの水槽の掃除を頼まれました。
底に溜まっているカス取りをしていて、あっ・・・・クラゲを吸ってしまいました。
もう吸ってしまったら、あとの祭りです。クラゲはグチャグチャです。絶望です。こんなにも儚いものなのかと、身を持って経験しました。しばらく立ち直れませんでした。そして未だに覚えています。

私たち飼育員は、掃除や水抜き、水入れなどの作業時に、サイホンといって、水が落ちる力を利用して、ポンプなどは使わず、ホース一本で作業します。
魚などの水槽では、よほど太いホースなどでやらない限り、魚を吸ってしまうことはあまりないのですが、クラゲは本当に細い口のホースで気を付けていても、ちょっとした気の緩みであっという間に吸われてしまいます。
そして、魚などは例え吸われても平気なことがほとんどですが、クラゲは骨なしのため、形を保つことができません。特に、クシクラゲの仲間は、他のクラゲに比べても、非常に軟弱です。イメージとしては、まさに掃除機でゼリーを吸ったら、ゼリーはどうなるかという感じです。

こんな感じで、クラゲ飼育をしているとたびたびヒヤヒヤすることが多々あります。担当歴が長くなってくると経験も増え、思い出も増えてきます。たまにふと思い返すことがある、きょうこの頃です。

※チョウクラゲの展示は終了いたしました。

クラゲサイエンス

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