2019年06月01日
トリーター:山本

深海のロマン! クロカムリクラゲ展示中!

深海ファン、クラゲファンをうならせる、激レアなクラゲが“えのすい”にやってきました! その名も「クロカムリクラゲ」!
Aトリーターが広島大学の実習船で航海に行き、種子島の東にある深さ800mのポイントから、採集してきてくれました。深海に分布し、生きている姿はめったに見ることができません。私も動いている姿は初めて見ました! 大興奮です。暴走しそうな気持ちをおさえながらこの日誌を書いています。
このクラゲを展示するにあたり、生態などをちょっと詳しく調べてみましたのでご紹介します!

クロカムリクラゲは、日本海と北極海域をのぞいた全世界の海に分布しているそうです。鉢虫綱、冠クラゲ目、クロカムリクラゲ科に属しています。広い目で見れば、ミズクラゲやアカクラゲ、タコクラゲなどと同じグループ(例えるなら、人とウサギくらいの違いでしょうか)に入りますが、その体の形は独特です。

「平衡器」という重力を感じる器官が4個あり、その間には太い触手が3本ずつ、計12本生えています(展示している個体は1本切れてしまったようで、11本です)。
泳ぐときには、触手を傘頂方向に向けて泳ぎます。
傘は透明なのですが、胃の部分が赤いです。なぜかというと、深海には、餌をおびき寄せたり、敵を驚かせたりするために発光する生き物がたくさんいるのですが、クロカムリクラゲが他の生物を捕食した時、その生き物が胃の中でぱーっと光ってしまうと、暗闇で目立ってしまい、他の大きな生き物に襲われてしまいます。それを防ぐため、深海の環境では見え辛い赤色をしていると考えられています。
そしてこのクラゲも、自ら「発光する」という特徴を持っています。クロカムリクラゲが発光するのは、敵を撃退するためと考えられています。クロカムリクラゲが他の生き物に捕食されそうな時に発光し、さらに他の大きな生き物をおびき寄せ、敵を撃退するという場面が観察されたことがあるそうです。

いずれも過酷な深海を生き抜くための特徴なのですね、かっこいい・・・! 展示している個体が光るところはまだ見られていませんが、そのうち何かの拍子に光ったりするのでしょうか。

さて、このクロカムリクラゲですが、驚くことにLurefjorden(ノルウェーにあるフィヨルド)というところで得られたサンプルを元に、生活史が解明されています。沿岸域のクラゲでも解明されていないものが多いのに、外洋の、しかも深海のクラゲの生活史が解明されているのは本当にすごいです…。
どうやらこのクラゲはポリプ世代を持たず、卵が直接クラゲに育つようです。“えのすい”でも観察することができたらなあ…。

また、実験室で観察された結果、あらゆる刺激に対する感度が、体の各部分でかなりの違いがあるという報告がありました。それに加え、触手の先端に比べて、根本側の方は筋肉が発達しているそうです。
これらの特徴が、深海という過酷な環境で餌を捕まえる成功率を上げているんだそうです。機能的。まさに深海のロマン。
調べれば調べるほど興味深い情報が出てきます。

つらつらと勢いで書きましたが、とにかく実物を見ていただきたい! きっと他のクラゲたちにはない迫力を感じられると思います。恐らく、生きている姿を見ることができるのは、“えのすい”だけなのではないでしょうか!
いつまで展示できるか分かりませんので、気になる方は今のうちに、ぜひぜひぜひぜひ御覧ください!

※「クロカムリクラゲ」の展示は2019年6月12日をもって終了いたしました。

クラゲサイエンス

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