2019年11月20日
トリーター:小森

真面目なお話~愉快なカワウソを添えて~

みなさん、大変です。「ヨモギ」のヒゲがほぼなくなってしまいました。
「ミサキ」も左頬のヒゲだけなくなりました。ひどくないですかこれ・・・


もうこれはあやつしかいませんよ。
あやつ↑

しかしながらこれは今回の本題ではありません。
前回、ちょっとだけ触れた「CITESⅠ」について真面目に、息抜きとして愉快な画像とともに説明します。

とてもかわいいコツメカワウソですが、実際にはその数は減ってきているといわれており、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは「このままだといつか絶滅しちゃうかもしれないよ!!」という意味合いの「危急種」に指定されています。

そんな中、年々コツメカワウソの人気が高まることで、生息地では親カワウソが殺され、生後 1~ 3か月頃の子カワウソをスーツケースなどに詰め込み他国へ持ち込む密輸や、現地にて 3,000円ほどで購入し、他国で 100万円で売るような問題が起きています。ぼろ儲け!
ちなみに生後 1か月だと
こんな感じです。

そんな状況に危機を感じた多くの国が、コツメカワウソの国際取引を禁止にましょう!と動き出し、今回CITESⅡからCITESⅠへ引き上げられたのです(2019年8月26日に決定、11月26日から開始)。

さて、これまた難しい言葉が出てきましたね。そもそもCITESって??
難しすぎてこんな顔になりそうですね。
では説明していきましょう!

CITESとは日本語では「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」と呼ばれており(難しい!)、通称「ワシントン条約」や英文表記の頭文字を取って「CITES」(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)と呼んでいます。

その条約でコツメカワウソが今回CITESⅡからCITESⅠになりました。
正直どういうこっちゃ、て感じですよね。

ちなみに日本語だと「ワシントン条約の付属書Ⅱから付属書Ⅰになりました」という説明になります。さあ、いよいよ頭が混乱してきましたね。
一度ここで整理しましょう。

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」=「ワシントン条約」=「CITES」
「付属書Ⅰ」=「CITESⅠ」
「付属書Ⅱ」=「CITESⅡ」

わかりましたか?
みなさん、ついてこられずこんな顔していませんか?

では、次にその中身の説明をしましょう。

今までのCITESⅡだと輸出国の許可があれば商業輸出が可能でしたが、CITESⅠになると販売用の国際取引が原則禁止になるのです。

もっと噛み砕きましょう。

今まで国際間の取引ができていたのが、ほぼできなくなります!!
なんてこった!
ということです。
密輸に対して直接的な効力はありませんが、簡単に取引ができなくなった分、いいコツメカワウソが手に入ったよ!と容易に言えなくなりますよね? そういった抑止力が期待されています。

そして、日本ではCITESⅠに指定されたものを「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)に基づき、国内での取引が原則禁止されます。
つまり、ペット販売ができなくなります。

それでも、やっぱりかわいくてペットにしたいと思う方は多いですよね。
飼育している私も、それはそれは毎日かわいい・・・と顔がにやける瞬間はありますが、家で飼いたいかと聞かれるとぜっっっっっっっっっったいに嫌です。

なので、みなさんがカワウソを飼いたくなくなるような情報もあえてたくさんお届けしようと思います!

1)にぎやか
性格にもよりますが、よく鳴く子は頭が痛くなるほど鳴きます。
遊び方もにぎやか。

「ミサキ」↓

「サクラ」↓

羽生〇弦選手顔負けのスピンを見せる「カシワ」↓

すんごい楽しそうだけどご近所迷惑間違いなし!
疲れて帰って来てこのにぎやかさは・・・うぅ・・・

2)めっちゃ体拭かれる
カワウソは習性として体が濡れたら自分で拭いて乾かしますが、人でも容赦なく拭いてきます。胴長、制服、髪の毛、いろいろなもので拭かれます。結果、びしゃびしゃ。じゃあ水に入れなきゃいいんじゃない?と思うかもしれませんが、カワウソは水辺の動物です。やっぱり水の中にいる時がとても生き生きしています。

3)あごの力が半端ない
見てください、噛む力が強い犬用のおもちゃも 1~ 2日で破壊します。
塩ビパイプですら歯形が付きます。
こんな顎で噛まれる覚悟はありますか?

4)うんちびしゃびしゃ
カワウソのうんちはほとんど形を保っていません。おしっこと一緒に水っぽいうんちをびしゃー!とします。家で飼うならうんちは固形の方が処理しやすいですね。あと、においが強烈です。

5)晩酌に付き合ってくれない
もし餌をアジの 3枚おろしにした場合、アジのなめろうが作り放題になりますが、カワウソたちは 1日約 17時間寝るので晩酌には付き合ってくれません。

6)もしかしたら絶滅してしまうかもしれない動物
考えただけで怖いですね!!!

7)カワウソは伴侶動物ではない
そもそものお話になってしまいますが、カワウソは伴侶動物、つまり、身近なペットではありません。なぜ犬は 1万 5000年前(諸説あり)に家畜化され、カワウソはされなかったのか。なぜ猫は1万年前(諸説あり)に家畜化され、カワウソはされなかったのか。なぜ、犬や猫は世界中で多く飼われ、カワウソは飼われていないのか。一部の国ではカワウソを用いて漁を行っていますが、ペットではありません。確かに頭がよく、育て方次第では人に馴れますが、家畜化されていないという事実がすべてを物語っています。

いかに飼育が難しいか伝わりましたか?

いつの間にやらこんな長さになってしまい…すみません。一人でも多くの方にカワウソの現状について知っていただけると嬉しいです(^^)
だいぶ噛み砕いて説明していますので、しっかりと知りたい方はぜひご自身で調べてみてください!

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!

カワウソ~木漏れ日のオアシス~

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