2020年02月15日
トリーター:山本

カタアシクラゲとイチメガサクラゲ

ちょっと前に、またまた伊豆でクラゲ採集をしてきました。
前に行った時のように、大量には採れなかったのですが、面白いクラゲが取れたのでご紹介します。

カタアシクラゲ


ヒドロ虫綱花クラゲ目に属します。
ベニクラゲやオオタマウミヒドラの仲間です。
大きさは 5mm程。尖った傘に、長い触手を一本、短い触手状の突起が三か所から伸びています。
なんてアンバランス。何もないところで泳いだら、その場でくるくる回ってしまいそうなのですが、そんなことにはなりません。
たまに採集できるくらいで、採れた時にはややテンションが上がります。
また、今回は採れませんでしたが、「カタアシクラゲ」によく似た「カタアシクラゲモドキ」というクラゲがいます。パッと見ではわかり辛いですが、「触手」をじっくり見ると簡単に見分けることができるのです。


触手の拡大写真です。
麻酔を使って触手を伸ばしてみましたが、きれいに伸びず、こんな写真になってしまいました・・・ 。
これだとちょっとわかり辛いので、図を用意してみました。


見るポイントは、触手にある「刺胞塊(刺胞の塊)」です。
刺胞塊が「触手の片側」だけにあればカタアシクラゲ、「数珠状」に並んでいればカタアシクラゲモドキです。
江の島でも見ることができますので、クラゲの日とかで採れた時には、これを覚えておけば正確な種同定ができるはずです。
慣れれば目で見てもわかりますよ。現在クラゲサイエンスにて展示中です。すごく小さいですが、目を凝らしてよーく観察してみてください。


イチメガサクラゲ

ヒドロ虫綱硬クラゲ目に属します。
たまーに展示する「カラカサクラゲ」などの仲間になります。
大きさは、大きいやつで 10mm程。外洋性のクラゲで、沿岸域ではそんなにお目にかかれません。
触手は16本ある・・・ はずなのですが、採集の際の衝撃で、千切れてしまいました。
ストレスがかかると触手を自切するそうなので、取り扱いに細心の注意が必要です。
名前の「イチメガサ」とは、平安時代以降、女性が被っていたとされる「市女笠」のことで、透明な傘がそれに似ています。
動きはパッパッパっととても素早く、どこにそんな筋肉があるんだよといつも不思議に思います。
そんなイチメガサクラゲですが、飼育が非常―に難しく、残念ながら現在は展示しておりません。
採れた時にはすぐにクラゲサイエンスに登場させますので、いたときはラッキー♪くらいでご期待ください。

他にも、代表的な春のクラゲ「シミコクラゲ」や「ミズクラゲのエフィラ」なんかも採集できました。
普段行かないフィールドでの採集はやっぱり楽しいですね。
これからもいろいろな場所に向かって、まだ見ぬクラゲたちに会いに行こうと思います。お楽しみに。

関連日誌
2019/12/30 オオカラカサクラゲとツヅミクラゲモドキ

クラゲサイエンス

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