2020年09月04日
トリーター:小森

スパルタ父・「ヨモギ」

最近のカワウソファミリーをご覧いただいた方はすでにお気づきかもしれませんが、実はつい先日、「カシワ」に続き、「オモチ」も独り立ちをしました。


左が「オモチ」、右が「サクラ」

ただ、今回は「カシワ」の独り立ちとはちょっと違ったものとなりました。
8月頭頃から、なんとなく一頭で行動することが目立ってきた「オモチ」。
群れのバランスが崩れそうなときはお互いの縄張りを狭めてあげると落ち着く、という話もあるため、なるべく闘争を避けてあげたい!という思いから、試しにメインエリアよりも小さいデッキエリアへの収容時間を伸ばす対策を取ってみました。
すると、一頭での行動が減った「オモチ」。これで一安心か?と思いきや、今度は「ミサキ」が興奮するように…。
そしてある日、その興奮に引っ張られて、「オモチ」が「ヨモギ」のことを軽く攻撃してしまいました!
※カワウソは集団行動を取る動物であるため、1頭の動きにつられて同じ行動を取ることが多々あります。

幸い怪我のない攻撃で、その後はいつも通りお父さんの「ヨモギ」にべったりくっついて甘えていました。


左から「ミサキ」「オモチ」「ヨモギ」

しかし、父・「ヨモギ」は「オモチ」が群れに残ることを快く思わなかったのか、はたまた独り立ちの時期だと判断したのか、数日後、突然「オモチ」に対して怒り始めました。

それには「オモチ」もびっくり。その喧嘩には怪我の危険があったため(※幸い大きな怪我はありませんでした)、私たちはいったん「オモチ」を群れから離しました。
ただ、「ミサキ」と「サクラ」は「オモチ」を受け入れています。何とか群れに戻せないか?と、ダメもとでバックヤードにて順を追って慎重に「オモチ」を「ヨモギ」たちとお見合い・合流をさせてみました。

合流後、何度か「ヨモギ」が「俺の方が上だからな」といっているかの如く、「オモチ」の首当たりを軽くカッと噛み、その都度オモチはお腹を見せ、自身に抵抗する意思がないことを示していました。
うん、これなら大丈夫かな?なんとか合流できたっぽい!と安心したのも束の間、メインエリアへ戻してみると・・・
やっぱり「ヨモギ」が「オモチ」の合流を認めたくないようで、「ヨモギ」「ミサキ」「サクラ」の 3頭に続き「オモチ」がドンゴロス(麻袋)に入ろうとした途端、「ヨモギ」が再び怒り始めました。

「オモチ」は群れに戻りたそうにしていましたが、こうなっては私たちも父でありリーダーである「ヨモギ」の意思に従うしかありません。
こればかりは胸が痛みましたが、なんとか「オモチ」をバックヤードに誘導し、「オモチ」の一人暮らしがスタートしたのでした。

さて、翌日の「オモチ」はというと、とてもしょぼくれていました・・・。
大丈夫かな、と心配しましたが、なんと落ち込んでいたのは1日だけ。(笑)
毎日私たちとよく遊んでいますよ~。
そしてスパルタ父・「ヨモギ」による成ウソ式を迎えたからか、性成熟の目安となる睾丸もぷっくりするようになりました。
今は就寝用のドンゴロスを自らカスタマイズして、お布団のようにして眠るのがお気に入りのようです。



ちなみに「カシワ」の寝方はこちら


目を開ければ寝ながらお水が飲める怠惰なおやじスタイルです。個性があって実に面白いですね(^^)

ただ、「カシワ」としては、おひとりさま天国だったところに新たな住人が入居したことで、ちょっとぷんすかしているようです。兄弟といっても、別々に暮らしてしまった以上、もうれっきとした“別群れ”なのです。この間まであんなに仲良く一緒に暮らしていたのになぁ。

本当に、カワウソは飼育の難しい動物だな、とつくづく感じます。私たち人間はなんて単純な生き物なのでしょうね。
さて、そんな「オモチ」もいつかみなさんの前にお連れできるように、「カシワ」に続いて少しずつバックヤードの獣舎から離れる練習を開始しています!


一からのトレーニングなのでまだまだ時間がかかってしまいそうですが、「カシワ」も「オモチ」も元気に暮らしていますので心配せずにいてくださいね!定期的にようすをお伝えできればと思っています(^^)

そして、展示継続中の 3頭はといいますと、ハンモックに余裕ができたため今までお団子状態でよくわからなかったお昼寝の姿がとても見やすくなっています!


こんな格好で寝ているんだな、という観察がよりしやすくなったので、それぞれどんな寝相の癖があるのか、ぜひチェックしてみてくださいね!
そしてわちゃわちゃ状態だと誰が誰なのか分からない方が多かったかと思いますが、個体識別もよりしやすくなったので、「カシワ」や「オモチ」が出てくる前に、まずはこの3頭の見分けができるように日々チャレンジしてみてください。
ヒントも書いておきましょう! 体が一回り大きくて濃い茶色をしているのが「ヨモギ」、薄い茶色をしていてせわしなく動いたり、展示エリアにぶら下がっているぐるぐるロープで高速回転(要必見!)を見せてくれたりするのが「ミサキ」、カメラを構えるとくりくりの真ん丸お目目でカメラ目線をくれる、お口周りに黒い模様がある子が「サクラ」です!

これからも“えのすい”のカワウソファミリーをよろしくお願いします!

カワウソ~木漏れ日のオアシス~

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