2021年04月25日
トリーター:北嶋

本物の海を再現するために

“えのすい”の展示水槽は「実際の風景を切り取ってきたようなレイアウトと生き物たち」が見られるように作り込んでいます。
しかし、水槽の中と自然の海では異なる条件が多いため、再現するとこはとっても難しいのです。

たとえば、大きさ。
今の時期に江の島で潜ると、小さなプランクトンがたくさん見られます。
春は新しい命がたくさん生まれるシーズンなので、生まれたばかりの生き物たち、まだ小さな子どもたちで海が濁るほどです。
リアルに再現しようと、目を凝らして見えるか見えないかというような小さな生物を水槽に入れても、お客さまに見てもらうのは難しいでしょう。
その上、飼うことはかなりの困難です。
その理由は、水槽の浄化装置に吸われないようにすること、それだけの命を賄う小さな餌を大量に常に与えること、大きな生き物と一緒に飼うと食べられてしまうこと、などなど。

また、まだ飼うことが難しい、いったい何を食べているのかわからないような生き物も海にはいますし、飼育下では光や強い水流など条件をそろえるのが難しい海藻やサンゴなどの生き物もいます。
そのような難しい生き物などもひっくるめて飼育して再現することが理想ではありますが、まだ実現が難しいところは、偽物の力を借ります。
擬岩とか、偽海藻とか造花ですね。
精巧な作りなものは、本物と見間違えられることもあるほどです。

さきほど、相模湾大水槽に偽物の岩に偽サンゴとサンゴの骨格を取り付けたものを設置してみました。
この岩は、以前、季節来遊魚水槽に入れていた後輩たちが制作したものです。
江の島の岩場にはこのようなサンゴがたくさんいます。
そのサンゴを隠れ家にしてる小さな生き物がいたり、食べているウミウシがいたりします。
そんな雰囲気が伝わればいいなとおもっています。


いかがでしょうか。
試行錯誤は続きます。

相模湾ゾーン

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