タイワンホウキガニ一昨年に昭和硫黄島から当館に搬入したタイワンホウキガニが昨年から卵を持つようになり、水槽内で何度かふ化しています。
タイワンホウキガニは、約 2週間でふ化するようです。
ふ化したタイワンホウキガニの赤ちゃん(幼生)はゾエアと呼び、少し変わった形の動物プランクトンとして海中を漂います。
大きさは 1㎜、またはそれよりも小さいかもしれません。

抱卵中のタイワンホウキガニ

タイワンホウキガニのゾエア
タイワンホウキガニに限らず、カニの幼生であるゾエアは脱皮で少しずつ大きくなり、メガロパと呼ばれる次の成長段階に到達します。
可能であれば飼育下でタイワンホウキガニのメガロパを見たいですが、実は、卵からメガロパまで成長させることができた人は世界中に一人もいません。それどころか、1回目のゾエアの脱皮を見たという報告もされていません。
難しいゾエアの飼育ですが、試行錯誤の末、ついに脱皮を確認できるようになりました。
さらに、一度きりではなく数回脱皮の確認ができたことで、ふ化後約 10日で 1回目の脱皮をすることもわかってきました。

脱皮殻
しかし、その後は長く飼育できず、ふ化後 15日前後で死んでしまうことが多いです。
それでも 1度だけ 60日間の飼育に成功しました。
60日生存した個体は見るからに大きく、確実に成長しています。
ここまで成長しているのに、なぜメガロパにならないのか、、、
メガロパになるためには、きっとなにか特別な刺激が必要になるのでしょう。
それを調べるには、まず、60日間飼育しなければ始まりません。
今もゾエアの飼育をしていますが、20日目に死んでしまいました。
ゾエアの飼育は本当に難しいですが、世界初のタイワンホウキガニの飼育下繁殖を目指して諦めずに挑戦していきます。

飼育60日目のゾエア
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2021/02/17 頑張れタイワンホウキガニ!]
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2020/01/07 タイワンホウキガニのアップ]
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2019年11月 豊潮丸 硫黄島周辺海域生物採集調査航海]
タイワンホウキガニの飼育は「北里大学海洋生命科学部と新江ノ島水族館との学術協定」に関わる研究の一環です。