2021年09月20日
トリーター:石川

敬老の日

カマイルカ「クロス」カマイルカ「クロス」

本日は「敬老の日」です。

敬老の日といえばこの時期に長寿生物のエピソードを書くことが多いですね。
今回私に回って来てしまった本日誌。気が付けばスタッフの中で勤続年数が上から 3番目。
そうなるとそれを超える生き物が、私から見ると長寿で元気ということになります。

では私より“えのすい”にいるのが長い動物はというと、カマイルカの「クロス」がいます。
今年で 44年目です。多分、現在彼より勤続年数が上のスタッフは“えのすい”にはいません。
私も 30年くらい前に少しだけ担当したことがあります。その頃は、「クロス」のほか「トミー(オス)」と「バル(メス)」のカマイルカトリオがイルカショーの前半を務めていました。
現在はふつうにおこなわれているバックヤードでサインを出して、メインプールで種目を披露して帰ってくる方法を最初に確立したメンバーの 1頭です。ただ当時はまだやんちゃで、時々メインプールにいるイルカやクジラのところへいって戻ってこない、なんていうことがよくありました。
当館で最長寿だったハナゴンドウ「ヨン」の 43歳を抜いて、当館のマイルカ科最年長記録更新中です。

その上というとゴマフアザラシで 45歳の「天洋l(テンヨウイチ)」というメスがバックヤードにいます。
私は「テンイチ」って呼んでいます。入社して最初に担当したのがゴマフアザラシたちでした。
当時は「天洋l」のお母さん「天洋(テンヨウ)」が国内最長寿で国内登録番号が1番でした。
「天洋」という名前は「天洋」を寄贈いただいた方の船名、天洋丸からきていて、 34歳まで生きていました。「天洋Ⅰ」は「天洋」の最初の子供です。お母さんを超えて長寿です。昔は屋外で飼育していて、他に 11頭いましたが、中でも身体が大きく、よくお腹を上にして大の字で寝ている姿が印象的でした、おおらかな性格が長寿の秘訣なのでしょうか。

本当はハナゴンドウの「ビーナ」 34年目も、バンドウイルカの「ミュー」 34年目も、今は八景島シーパラダイスにいる「パル」 33年目も私と 1~2年違いなので長寿なのでしょうけれど、「ミュー」以外、私のイメージではいまだにおこちゃま感が抜けません。
春まで担当していたコツメカワウソの「ヨモギ」も 13歳。これまで“えのすい”で飼育したコツメカワウソの中では最年長です。


ルビー

さて、担当のペンギンでは、最年長の「ルビー」が元気ですが、彼女の生い立ちを知っていて一緒にショーをやっていたことを思い出すと私にとっては、同年代か数年若い後輩のイメージなんです。
“えのすい”で最年長だった「Ⅰ青(イチアオ)」という雄の 30年を今年抜いて、 31年目になりました。
30年前はフンボルトペンギンの寿命は 20年から 25年という話でしたが、現在 20年を超えるペンギンは 12羽、このままいけば来年には 14羽になります。
飼育環境や医療が進むことで長寿となってきたのだと思いたいのですが、野生のフンボルトペンギンがどれほど生きるのか明確にはわかっていません。浮足立つのはまだまだで、日本には 40年を超えるフンボルトペンギンがいるので、50年、60年目指して元気に生きてもらいたいと思います。

50年、60年ってそんなに生きるの?と思われた方、鳥って結構長生きなんですよ。それも野生で記録されているのだそうです!
「おきのだゆう」という呼び名があるアホウドリの仲間「コアホウドリ」という種類です。記録によると 1956年に調査のための足環をつけて今年 66年目で子育てをしていたという記録があるそうです!!
アホウドリの仲間って子育ての期間以外は大海原を旅しているようで、このコアホウドリの総移動距離は 480万キロにもなるそうです。人間でもそんなに行動距離が長い人って少ないんじゃあないかなと思います。
子育ての時期は決まった島へ戻って来て、相方が生きていれば一生同じ相方と子育てして、子育て以外は大海原を採餌しながら移動しているそうです。
こんな生き方憧れますね。

野生個体か飼育個体かははっきりしませんが、 60年くらいの長寿はほかに、モモイロペリカン 68年、 ワシミミズク 68年、ソデグロツル 61年、コクマルガラス 60年というのもあるそうです。飼育下のオオフラミンゴ 83年、公式な記録のある鳥類最年長の記録はヤシオウムの 90年ということです。
そして鳥たちは相方や仲間への意識が高い生き物です。きっと長寿の鳥たちの周りには素敵な仲間や相方、飼育係の存在があると思っています。

健康でいるには大変な時代ですが、鳥たちのようにちょっとした思いやりや気遣いでこの難局を乗り越えて、みんなで長生きできるように頑張りたいものですね。

ペンギン・アザラシ

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