2021年11月17日
トリーター:山本

チョビヒゲクラゲとバヌチィークラゲ

本日より、“えのすい”の「クラゲサイエンス」では、知る人ぞ知る激レアクラゲの「チョビヒゲクラゲ」と「バヌチィークラゲ」を展示しています。
どちらも 2mmほどの小さなクラゲで、展示しておいてあれですが、さすがに見えづらい!ので、日誌でもちょっと詳しく紹介させてください。

まずはチョビヒゲクラゲについて。

和名:チョビヒゲクラゲ
学名:Paralovenia bitentaculata
分類:刺胞動物門 ヒドロ虫綱 軟クラゲ目 コマヒメコップガヤ科

大きさは 2㎜ほどで触手は2本。
4つの白くて大きな生殖巣(赤丸で囲ったところ)が肉眼でもはっきりと確認できます。
はじめて採集したときはなかなか正体が分からず、なにかの稚クラゲかな?
でも成熟しているように見えるしなーと、あれこれ考えながら図鑑や論文を探し、よーーうやく見つけました。
どうやらこのサイズで立派に成熟しているようです。
そして・・・そうですね、和名がどうしても気になりますね。
ちょび髭?論文には何度見返しても、驚くことにちゃんと「Japanese name: Chobi-hige-kurage」と書いてあります。
名付けた理由は記載されておらず、詳しくは分かりませんが、触手と触手の中間にある刺胞が集まってできた塊が「チョビヒゲ」のように見える・・・ような気がします。
本種は、日本でいえばこれまで長崎県でのみ発見されており、発見件数もとても少ない激レアクラゲです。
今回の個体は駿河湾産。
実は江の島でも採れたことがあるのですが・・・ それはまた今度の話にしましょう。


次はバヌチィークラゲについて。

和名:バヌチィークラゲ
学名:Corymorpha forbesii
分類:刺胞動物門 ヒドロ虫綱 花クラゲ目 オオウミヒドラ科

こちらも大きさが 2mmほどのクラゲで、一本だけある長ーい触手の先端に、刺胞の塊を備えています。
私は初めて生で見ました・・・!
こちらはチョビヒゲクラゲよりも発見例が多いようで、ネットで検索すると各地のダイバーさんが撮った、美しい写真が出てきます。
図鑑に載っているので存在は知っていたのですが、まさか実物に出会えるとは・・・。
個人的には今年度最大の感激です。
クラゲオブザイヤー受賞です。

気になる和名の「バヌチィー」とは、イタリア出身の研究者 Marta Vannucci博士に由来するそうです(気になった方、ぜひぜひ調べてみてください!)。

両種とも日本の水族館で展示されることはほとんど・・・ いや、これまであったのかな?というほどに珍しいクラゲです。
ただ、この手のクラゲたちは飼育がとっても難しく、数日の展示となってしまう可能性が高いです・・・。
なるべく長く展示できるように頑張ります!

現在、ヨウラククラゲやオビクラゲなど、他のレアクラゲも展示しておりますので、ぜひぜひ、“えのすい”にお越しの際はクラゲサイエンスにお立ち寄りください!

RSS