2022年02月21日
トリーター:八巻

江ノ島フィッシャーマンズプロジェクト 3
藻場保全活動への参加

みなさんこんにちは!八巻です。
今回も今年度 何度かご紹介してきた [江ノ島・フィッシャーマンズ・プロジェクト(EFP)] での活動について書いていきたいと思います。
EFPはこれまでの日誌でもご紹介した通り、江の島の漁師さんが中心となり、環境保全活動や体験学習などをおこなっている団体です。
今回は今年度最後の活動でした。藻場の保全活動が主な内容です。
活動には私たちえのすいトリーターの他に、ダイビングショップのダイバーさんも参加されています。地元の海を想う気持ちはみな同じです。

今年度は、トリーター日誌に書けなかった分も含め、月に1回ほどのペースで活動に参加し、江の島周辺の海底のようすを観察してきました。
しかし、少なくとも前回までに藻場と呼べるものは一度も観察できていません。それどころか大型の海藻自体まったく見たことがありません。
江の島周辺は元々カジメやアラメというコンブの仲間の海藻から構成される藻場が海中林のごとく広がっていたといいます。しかし、それらの海藻は年々減っていき、ついに今年はカジメやアラメが全く確認できないというところまできてしまいました。
奇しくも今年度から本格的に活動に参加させていただいている私自身は、カジメ・アラメの「海中林」を見たことがありません。
カジメやアラメは多年生の海藻で、寿命は数年間です。従って一般に海藻が繁茂する冬場だけでなく、夏場も大型の葉体を維持し、一年を通して藻場が形成されます。
近年江の島周辺のカジメやアラメが急激に減っている理由ははっきりしませんが、一つの可能性として、夏の間活動が活発になる海藻食の魚類が増え、それらに食べられてしまっているということが挙げられるそうです。
生態系は絶妙なバランスで保たれているので、少しでもバランスが崩れると大きく瓦解してしまうこともしばしばです。とはいえ、今回の場合のように海藻を食べてしまう魚が悪いということでは全くありません。変化する自然を受け入れながら、できることをしていくということが大切だと思っています。

前置きが長くなりましたが、今回は上記のカジメ・アラメ場ではなく、ワカメ場の保全活動でした。
ワカメはカジメやアラメとは違い、冬から春の間だけ葉体が成長する一年生の海藻で、夏の間は目に見えないくらい小さな配偶体というかたちをしています。
従って、夏の間活発になる海藻食の魚の影響を受けにくいといわれます。水産的な価値も高いため、養殖もおこなわれています。
今回はワカメの遊走子(種のようなもの)が出てくる「めかぶ」の部分をたくさん網袋に入れた「スポアバッグ」を海底に取り付けることが主な活動目的です。しかし、実際に取り付ける予定の海域に行ってみると...

先月まで何もなかった岩場だったのに、

もうすでにワカメが繁茂する立派な藻場になっていました!


昨年も同じようにワカメ場の形成には成功したようです。これが同じサイクルで毎年回ってくれれば、冬場から春にかけてはワカメ場が形成されるということになります。
私にとって今年度初めて見た藻場だったので、とても嬉しかったです!

今回確認した江の島の生物も少しご紹介しますね。

キヌバリ、ハコフグキヌバリ、ハコフグニッポンウミシダニッポンウミシダシロウミウシシロウミウシウツボウツボヤギ類ヤギ類ハナギンチャク類ハナギンチャク類ウミエラ類ウミエラ類ドチザメドチザメ


ヤギ類

来年度も活動に参加させていただく予定ですので、引き続き頑張っていきたいと思います!

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