2022年04月06日
トリーター:小形

一番簡単そうなことが一番難しい。

最近ペンギン担当のトリーターを悩ませているのが、「給餌」です。
みなさんは動物たちがごはんを食べているようすを見て、「難しそう」と思うことはあまり無いかと思います。
外から見ると楽しそうに見えるものですが、実際は苦戦苦闘!

なぜなら、好き嫌いがあったり、体力をつけるためにもう少し食べてもらいたいけど少食な子がいたり、ごはんの途中で逃げ出してしまう子がいたり…。さまざまです。

一羽一羽の好きな魚や嫌いな魚、魚を食べる時の好きな向きなど、細かいこだわりを全て把握したうえで与えています。
なんだかすごいことのように書いてしまいましたが、給餌で苦戦苦闘しているうちに自然にその子の特徴を覚えてしまうものです。

私が思う、一番食べ方にこだわりがある子は28歳の「ハク」です。

長年生きていれば、それなりにこだわりが強くなるのでしょうか…。
まず、「ハク」の場合は給餌場所に来るところからこだわりが…。給餌場所に若いペンギンたちや、オスのペンギンたちが群がっていたりすると、「ちょっとそこの騒がしいのどかしてよね!」といった感じで目で訴えてきます。
その子たちをどかしてあげると、ササっと並びに来ます。

そしてここからが本戦。
「ハク」が今食べているのはアジ・ニシン・サンマの 3種類です。
「ハク」はこの中だとサンマが好きで、どちらかというとアジやニシンはあまり好きではありません。
なのでサンマ以外はプイっと顔を逸らされることもしばしば。だからいって、先にサンマを見せてしまうと、その後見せたアジやニシンは食べなかったりします。
魚を与える順番というのも大事なのです。

そして私たちを悩ませているのは年配のペンギンだけではありません。
若いペンギンたちです。中でも「ユキ」「サチ」「レイ」。この3羽はみんな2歳以下のペンギンです。

みんな落ち着きが無いうえに、怖がり…。
食べている最中に「やっぱりここで食べるの嫌だー!怖いー!」となってしまい逃げてしまうことも。

給餌場所に来るのも怖がっていたユキの場合は、安心して食べられる場所を用意してあげて、今はそこで与えるようにしています。
少しずつですが慣れてきて、おとなのペンギンたちが食べる場所に並びに来ることも多くなりました。

「サチ」と「レイ」はおとなと同じ場所で食べることはできても、最後の方で魚を引っ張って持っていこうとしたりする癖があります。なので、毎回食べているようすを動画に撮るようにして、どんな魚の持ち方がよいか、どんな渡し方がよいか、動画を見返して毎回変えたりしながら、以前よりは落ち着いて食べられることが多くなってきました。

↓体重計に乗るのは大好きな「サチ」。

↓普段は甘えん坊な「レイ」。

これからも、ペンギンたちみんなが気持ちよく楽しくごはんを食べられるように、いろいろな工夫をしていきたいと思います。
“えのすい”でペンギンたちの給餌を見かけた際には、ぜひこの苦悩を頭の片隅に置いて見てみてください。
きっと試行錯誤しているようすが見えてくるはずです!(笑)

ペンギン・アザラシ

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