2022年04月21日
トリーター:小森

いつか出会いたいクラゲ

昨年末からチャレンジしているクラゲがいます。
名前は「ムラサキクラゲ」。
育成が非常に難しく、恐らく世界中で多くの人がチャレンジしては断念してきたクラゲです。
ポリプからエフィラはぽんぽん出てくるのですが、その先が全く育ちません。
そのため詳しい生態や生活史なども全く知られていないのです。

ムラサキクラゲは外洋にいるクラゲで、日本ではごくたまに漁師さんの網にかかっているものが水族館に運ばれてきて展示されています。

初めてムラサキクラゲを見たとき、鮮やかな紫色の綺麗さに一目惚れしてしまいました。
その一目惚れから、エフィラから大きくなる過程を見たうえで成体に出会いたい…!という気持ちが湧いてきて、今育成にチャレンジさせてもらっています。

まぁ、それで簡単に育ったら誰がやっても育たないクラゲだなんていわれません。
お察しの通り、私ももちろん育っていません。

でも!
最近2個体だけだいぶクラゲ体になってきてるんです!

どの子のことか分かりますか?
上記の写真だとちょっとわかりにくいかもですが、こうやって並べるとより育っているのがわかるかと思います。

右上のエフィラがポリプから遊離したてのもので、ど真ん中の子が私が愛情を込めて育ててきたクラゲ体になりつつある子です。
形自体はあまりきれいではないのですが、まずは大きくすることが目標なのでまずまずです!

さて、育たないクラゲなので文献もほぼなく、今までこの大きさまで育てた人がいるのかさえわかりません。
みんなどこまで育てたことがあるんだろう…?

でもたったの2匹って少ないですよね。
実は、なんとなく育成のコツをつかんで、これより一回り小さい大きさまで育った子が5~6匹いたのです。しかし、そのクラゲたちとの別れはまさかの形で突然やってきました…。
そう、水槽に生えたコイツら。

わかります?
コイツです!!!

コケ!
え、コケ?て思いますよね。しかも引きの写真を見てもらうとわかるように、とっっっても小さなふさふさしたコケです。
特にクラゲにとって害はないのですが生える度に取り除いていました。でも完全に除去できるわけではないので1日でふさふさになるんですよね。

そしてある日突然、みんなコヤツらに絡まっていたんです…………。
毎日水替え作業をおこなっているにも関わらず、気付いた時にはすでに遅し。
全滅です。
1日テンションだだ下がりですよ…まさかこんなことで全滅するなんて思ってもいませんでした。
絡まっていた時間は長くても15時間以内。
クラゲとは水の流れに乗れないだけでだめになってしまう非常に繊細な生き物なのです。今はまた一から育て直しています。

実は先ほどの大きな2匹もコケに絡まっていたのですが、大きいがゆえに完全に弱らずに済んだようです。
ただ動きがとても弱弱しくなってしまったので、今は毎日ドキドキしながら見守っています。

1匹はごはん(ブラインシュリンプ)をあげるとこうやっていっぱい食べようとしてくれるようになったので少し安心ですが、もう1匹はどうかな…回復してくれるかな………。

あとですね、これは私の知識不足が招いた誤算なのですが、私の初めましてのムラサキクラゲは先ほどの色鮮やかな子だったため、ムラサキクラゲはみんなあの色だと思っていたんです。
でも、なんとこの子も同じムラサキクラゲのようで。。。

もしかして私が取り組んでるのって、こっちのムラサキクラゲなんじゃ…?なんて、後から気付いたりも。笑

なので仮に育ったとしても私が会いたい色のムラサキクラゲではなさそうですが、それでもやっぱり成長過程を見てみたいので、このままチャレンジしてみようと思います。

この4月からはサンゴや魚、ウミガメを扱う班に異動になりましたが、大きくなった2匹がいい感じだったため私のわがままで続けさせてもらっています。
自然下でのムラサキクラゲの写真というと綺麗な海で撮影されていることがほとんどなので、同じ綺麗な海に生息しているサンゴのことを新しい班で学んで、このクラゲに応用できたらな、とも思っています。
いつか憧れのムラサキクラゲに出会えることを願って…!

クラゲファンタジーホール

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