2022年04月27日
トリーター:西川

生物採集は日程調整が大切

水族館飼育員の仕事は、生物の展示や研究の他にも教育普及、ショーの出演など多岐にわたります。今回はその中で生物を展示するために必要不可欠な採集業務についてのお話とご報告です。

生物の採集は網ですくったり、釣りをしたりとさまざまな方法がありますが、採集したい生物の生態に合わせた方法を選んで、道具を揃えます。
乗船の場合は、採集道具の他に船上で生物を生かすための水槽や治療道具、水族館への運搬道具など多くの物が必要になり、その準備も時間がかかります。採集は楽しいですが、大変さもセットです。
そのため、しっかりと準備期間を含めたスケジュールを立てていきたいところなのですが、先週はうまく日程を調整できず、19日から22日の4日間で、採集の予定が3つも重なってしまいました。

一つ目は 20日、21日の深海生物の乗船採集、二つ目は 20日~22日の 研究調査航海採集、そして三つ目が 21日の釣り採集です。
どれも行きたいですが、残念ながら私は一人しかいません。
初めに予定していた深海生物の乗船採集を優先して、他の予定は泣く泣く辞退し、気持ちを切り替えて乗船採集に必要な道具を準備しました。
漁師さんの所有する船に乗せていただくので、大きな設備は必要ありませんが、それでもたくさんの道具が必要です。準備物を少し書き出してみると、

生物運搬用
・1t水量タンク
・冷水の温度を保つための氷
・水温計

乗船時用
・20Lバケツ
・100Lバケツ
・生物小分け用ケース
・救命胴衣
・ホース
・ロープ
・エアーポンプなど

この他にもたくさんの準備物がありますが、破損しているものや忘れているものがないか一つ一つ入念にチェックして万全の状態で採集日を迎えます。

準備物を乗せたトラック準備物を乗せたトラック

深海生物の乗船採集は、1日目の午後に水族館を出発し、現地ホテルで宿泊、夜中3時に出航の予定です。
採集日を迎え、予定通り午後に水族館を出発してホテルで宿泊しました。
出航が3時なので2時から準備をおこない、いつでも出航できるとなったときにちょうど漁師さんが来られて言いました。
「今日は中止です」。
どうやら天候の悪化も中止要因の一つのようです。
もっと慎重に日程を調整していれば、、、結局のところ、予定していた3つの採集のどれにも行けず、ちょっと残念な先週のお話でした。

RSS