2022年05月11日
トリーター:八巻

2022年度江ノ島フィッシャーマンズプロジェクト 1

みなさんこんにちは! 八巻です。
今回は昨年度もご紹介してきた 江ノ島・フィッシャーマンズ・プロジェクト(EFP) での活動について書いていきたいと思います。

EFPはこれまでの日誌でもご紹介した通り、江の島の漁師さんが中心となり、環境保全活動や体験学習などをおこなっている団体です。
私たちえのすいトリーターも、江の島の海をもっとよく知ろう!地域の海の保全に積極的に関わろう!というモチベーションのもと、継続的に参加させていただいています。
そして、今年度も先日 5月7日(土)から、いよいよ活動が始まりました!

今年度初回となる今回は、藻場の保全活動が主な目的です。EFPでは藻場のモニタリングポイントを定めて、ポイントごとに毎年海藻や生き物がどの程度観察できるか、基準を定めて記録しています。今回はそのポイントの今年度の記録をとる「モニタリング」の日でした。
実は昨年度はこのモニタリング活動には参加しておらず、全体のモニタリングポイントを一度に見て回るのは初めての経験でした。今回は10個あるモニタリングポイントを 4名ずつ 8名のダイバーで 2組に分かれて観察しました。

モニタリングのようすモニタリングのようす

5月とはいえ、水温は 18℃。長時間水中にもぐっていると寒くなるくらいです。一方で水温が低いということもあり、全体的に冬場に繁茂したワカメ藻場が残っており、夏と比べるととても賑やかな印象です。

繁茂するワカメ繁茂するワカメ

ワカメの他にもサナダグサが多く見られるポイントもありました。

サナダグササナダグサ

そして何よりうれしかったのは、カジメ(あるいはアラメ)の幼体を発見できたことです! ワカメの森の隙間に 20~50センチほどに育った幼体を多数確認しました。

カジメの幼体カジメの幼体

実は今回カジメの幼体を発見したポイントは、昨年10月にカジメのスポアバッグ(母藻を使った海藻の種を周囲に撒くことができる仕掛け)の設置をおこなったポイントだったのです。

昨年カジメのスポアバッグを取りつけた時のようす昨年カジメのスポアバッグを取りつけた時のようす

明らかに昨年設置したスポアバッグの近くに多くの幼体が見られたことに加え、スポアバッグ自体に付着していた幼体も観察できました。つまり、スポアバッグ設置の効果が現れたといえるのです!
しかし、嬉しいと同時に心配なことがあります。
というのも、ワカメの藻体が森のように繁茂するのは冬から春にかけてで、夏の間はそれまで繁茂した藻体がなくなり、次世代が目に見えない大きさで冬になるのを待っています。
つまり、夏の間はワカメの森がないので、今回新たに生えたカジメの幼体がとても目立つようになってしまうのです。すると、植食性魚類の目につきやすく、食害に逢いやすくなってしまいます。これからどのようにしてその対策をおこなっていくのかは大きな課題です。
他にも確認できた生物の写真をご紹介しますね。

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