2022年06月11日
トリーター:櫻木

先日の鯨類のストランディングについて

少し前の話となります。
5月28日 平塚市花水川付近でイルカのストランディング(漂着)があるとの連絡がありました。状況把握のため、現場に向かい確認したところ「シワハイルカ」であることが分かりました。
この種は日本の沿岸、主には太平洋側に生息している種ではありますが、相模湾では比較的、情報の少ない種です。

シワハイルカは昨年も5月に相模湾で 1頭のストランディングがあり、さらには今回の件の数日前には駿河湾側でも同種が漁港に迷入している目撃情報がありました。数少ない情報の中で、駿河湾で迷入した個体と相模湾で座礁していた個体を見比べると背びれ付け根の形状の差から個人的には、同一個体ではないのではと推測しました。
昨年に引き続き、今年も5月に見られたこと、ほぼ同じタイミングで同じ種が複数発見されていることを考えると、この時期にシワハイルカは駿河湾や相模湾に回遊してくるものなのかもしれません。
こういった情報を積み重ね、動物の行動や生態解明に役立てていきたいものです。

今回は発見した時には、死亡していた状況でしたので、県の博物館にて解剖をおこないました。
解剖の結果は、呼吸器に重度の感染症の症状が見られ、これが死因の主な原因となったのではないかと思われます。
更に胃の中身を調べたところ、魚の骨やイカのくちばしに交じり、ほんの僅かではありますが、プラスチック片がありました。これを見ると海洋ごみ問題の深刻さをより身近に感じ、環境への配慮をもっと高めなければと思い知らされます。

発見した場所からトラックに運ぶ際、一般の方々にもお手伝いをいただき、大変助かりました。ご協力いただきましたみなさま、ありがとうございました。

シワハイルカシワハイルカ胃から出てきたプラスチック片胃から出てきたプラスチック片

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