2022年07月12日
トリーター:伴野

飼育員の仕事その2

みなさん、こんにちは!
前回から飼育員の仕事について書いています。
今回は後編となりますので、前編をご覧になってない方はぜひそちらからご覧くださいませ。[2022年6月14日 飼育員の仕事その1

では後半、いってみよう!!

4. 生き物の魅力をおもしろおかしく伝える

より多くの方に魅力的に生き物を伝えるために「ヒト」の力が大切になります。
もちろん、展示物を見るだけでお客さまに興味関心を持っていただけたら最高ですが、そこに飼育員にしかない体験談や知識、スキルが加わるとよりお客さまに届くと考えています。そして何かを好きになるきっかけは楽しむこと!!
面白いなと感じた時から興味を持ち始めて自ら学んでいくと思います。
水族館でそんなきっかけを提供できたら嬉しいといつも思っています。

“えのすい”にはさまざまなショーがありますが、ショーもお客さまに楽しみながら生き物の魅力を伝えるための展示の一部です。
また一度に多くのお客さまに効果的にお伝えできるメリットもあります。
スタジアムチームではショーを成功させるため毎回事前ミーティングをしてからショーに臨みます。

ショー以外にもさまざまプログラムでお客さまに生き物をつたえる仕事もあります。
バックヤードツアー、ふれあいプログラムなどです。
ショーと違って少人数になりますが、より深く丁寧にお客さまと向き合えるのが各プログラムの魅力です。

5. 生き物をよく観察、研究する

水族館の最大の強みは生きた生物を同じ条件下で観察し続けることができる点です。例えば、イルカの視力ってどれくらいといった疑問を持った際にみなさんならどのように調べますか?
視力を測定する方法は大きく二つあります。一つ目は眼球にある視細胞の数や構造を理解し推測する方法。
二つ目は視力検査です。
イルカと視力検査!?と思ったそこのあなた。
水族館では動物の協力を得てそれが可能になります。詳しい方法は省きますが、トレーニングを積み重ねることによって視力検査やどのように物を見ているかが分かってきます。
そしてこれらの研究はイルカが引っ掛からない漁網の開発へと繋がったりします。水族館でおこなわれている研究は私たちの生活に今すぐ必要というわけではありませんが、生き物とともに暮らしていくことに役立つと信じています。

これらの写真は妊娠中のイルカの定期検査の写真です。
胎児がいつ産まれるか、
どれくらいのペースで育っているか、
産まれた直後の授乳や呼吸行動はどうか?
“えのすい”ではイルカたちの繁殖行動をしっかりと観察し命を繋げています。

6. 社会へ発表する

動物たちから得られた貴重なデータは世の中に出して初めて大きな意味を持つようになります。社会へ発表する方法はたくさんあります。論文や学会発表、そして身近なものだと解説板などです。生き物を守ったり、後世に正式な記録として残していくために大切な仕事です。

7. 活動を通じて生き物や自然を守る

まずはお客さまに興味関心を持っていただく

生き物を身近に感じるプログラムや展示生き物を身近に感じるプログラムや展示

今起きている現状を伝える

漂着した生物の胃の中にあったもの漂着した生物の胃の中にあったもの

水族館で生き物や環境を身近に感じていただき興味を持ってもらう。
その上で今起きていることを伝えていく。
このことが生き物や自然を守ることに繋がると信じています。


いろいろと長く書きましたが、飼育員の大切な仕事は二つあると考えています。

お客さまと生き物の架け橋となること

生き物から学び、生き物や自然に還元すること


この二つが、私が飼育員を目指していた時から今も変わらずにもっているモットーです!!

いかがでしたでしょうか。
2回にわたって飼育員について書いてみました。
飼育員一人一人によって考え方や経験はまるで違います。
ぜひ“えのすい”に来ていろんなトリーターに話を聞いてみてください!

それでは本日はこの辺で!

イルカショースタジアム

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