クラゲを採集していると、時々クラゲではないものが採れることがあります。カニの幼生やゴカイの幼生などのプランクトンや、水面をぷかぷか浮いているハナデンシャ、深海性のホオズキイカとか遊泳性の巻貝ゾウクラゲ、サルパの仲間などです。サルパやゾウクラゲはクラゲサイエンスで展示したこともあります。
現在クラゲサイエンスにいるのはアジの仲間です。もともとオキクラゲについていた小さなアジの仲間の幼魚です。展示ではアカクラゲと一緒に入っています。ムラサキクラゲによくアジの仲間が付いていることがあります。
昨年、同様にクラゲについて暮らすハナビラウオをクラゲサイエンスで展示しましたが、こちらはクラゲに寄り添い、かつクラゲを食べてしまう魚でしたが、アジ科の魚たちはクラゲ自身を食べることは無いようです。また、クラゲに対する依存度もそれほど高くないようです。こちらもすくすく成長していますので、大きくなったら魚の水槽にお引越しとなると思います。
古株のイガグリホンヤドカリは何気に暮らしておりますが、背負っている巻貝状のものが実はポリプの群体で、ヤドカリの成長に合わせて大きくなるのでこのヤドカリは引っ越しをしません。
一般的にヤドカリは成長に合わせて殻を変えるとされていますが、実はしょっちゅう変えています。満足する殻を求めて、時には他のヤドカリの殻を力づくで奪う事もあるほどです。そういう意味では安定した宿借りですね。
そして、クラゲファンタジーホールのお話です。
入口右側にいるスナイロクラゲ。このスナイロクラゲは漁師さん経由で“えのすい”にやってきたのですが、こちらにもクラゲでないお客人が混じっていました。
それはシマイシガニ。タコクラゲなどの根口クラゲにしばしば取りついている、ワタリガニの仲間です。かつてはちょこちょこクラゲに混じって目にしていたのですが、ここ最近久しぶりに見ました。スナイロクラゲにスポイトで給餌していたら傘の根元から甲幅 1センチほどの可愛らしいシマイシガニが。しかし、このシマイシガニはクラゲを食べてもしまうんです。ゆくゆくはクラゲから離れて底生生活をはじめますが、結構大きくなるうえに、かなりの暴君になります。
また、以前トリーター日誌に書いたことがあるのですが、イカの切り身を使ってシロギスを寄せて捕まえようとしたりと面白い行動も見せてくれるカニです。背中に十字架模様が入ることから「キリストガ二」という別名を持っています。
もしかしたらクリスマスに間に合うように、スナイロクラゲに乗ってえのすいにやってきたのかもしれません。よーく探してみてくださいね。
※シマイシガニ、スナイロクラゲの展示は終了しました。