コトクラゲ Lyrocteis imperatoris は、“えのすい”のある相模湾で、昭和天皇が1941年に江の島沖で採集され、翌年に京都大学の駒井卓博士によって新種記載された、底生性のクシクラゲの仲間です。
ちなみに学名の「imperatoris」は、ラテン語で「天皇」を意味しています。
“えのすい”では、水中ドローンの調査で2020年に相模湾の海底約 120m付近で(昭和天皇の発見から)実に 79年ぶりに再発見しました。
今回紹介するコトクラゲの稚クラゲは、2022年4月に水中ドローンの調査の時に親個体と一緒に発見・採集された幼生が成長したものです。
幼生の発見当初は、大きさが 4㎜ほどで体にはクシクラゲの特徴である「櫛板」がある状態で、水槽内を浮遊していました。
その後 3か月ほどすると櫛板が消失して、水底に着底しました。
大きさは 1cmほどでした。
そして、10か月ほど経った現在は、大きさが 2㎝程度にまで成長して、コトクラゲの特徴であるハート形の体と櫛状に枝分かれした体の何倍もある長い触手を伸長しているようすが観察できます。
食事の時などに観察すると触手でうまくプランクトンを捕まえたり、捕らえたプランクトンを取り込もうとしているのか、ハート形の突出部分を合わせて○形になったりと、さまざまな姿を見せてくれるようになりました。
ここまで大きく成長させてくれているクラゲ飼育メンバーに感謝です!!
体の模様もだんだん親個体に似てきましたね。
親の大きさの15cm程になるまではまだまだかかりそうですが、ゆっくり見守っていきたいと思います。
コトクラゲの成長が見られるのは「皇室ご一家の生物学ご研究」ですので、みなさんも“えのすい”にお越しの際は、ぜひ、絶賛成長中のコトクラゲを見に来てください。