2023年02月27日
トリーター:加登岡

SHARKS“えのすい”のサメ展への道 2

今春企画をしている「 SHARKS “えのすい”のサメ展 」の実施に向けて、昨年12月1日新規のサメの入手がミッションのため、米神の漁師さんに船に乗せてもらい、定置網漁に参加しました。
何度か米神定置網の船には乗せてもらったことがあり、2021年の頃にはカスザメやアカシュモクザメ、シロシュモクザメが入っていました。
ただもう少し暖かい時期ではありましたが・・・
不安と期待に胸を膨らませて、いざ乗船!
サメの移動や治療のために作ったサメ担架(当日作成の作りたて。初めての使用でした。)も船に積ませてもらい、定置網に向かいます!
米神定置網では 2つの網を運用しています。
まず 1つ目、徐々に網が揚がっていき、魚影が見えてきます。
そこに大きな影が・・・

あ、あれは・・・

マンボウ!

マンボウが見られてラッキーでしたが、サメでは無いのでやや焦ります。
あれよあれよと網は揚がってしまい、サメは一匹もいませんでした。

「ま、まだもう 1網ある・・・」

かなりの不安を抱え、次の網へ

次の網も漁師さんたちが手際よく揚げていきます。
そしてまたしてもマンボウが(笑)

網は容赦なく揚がっていきます。
サ、サメが見当たらない・・・
網が揚がるとともに私の不安も上がっていきます。

その時、背びれが水面にチラッと見えました!
しかし一瞬で潜っていき、姿は見えなくなりました。
「今のはサメっぽいぞ・・・でも何ザメだ? ドチザメやシロザメか? この種類だと“えのすい”での新展示生物ではないしな・・・」など頭の中が駆け巡ります。

網が揚がるにつれ、その姿が見えないか目を凝らします。
網が揚がり過ぎてしまうと魚同士で押し潰されて、傷ついたり弱ってしまいます。
なるべく早い段階での捕獲が望まれます。
しかし、なかなか出てこずいよいよ残りわずかになりました。
その時、漁師さんが「サメいるぞ!」と掛け声!
水面に現れた。 その姿は泳ぎ方、体のフォルムからもドチザメでもシロザメでもありません、メジロザメの仲間! まさに求めていたサメでした。
たも網で捕獲を試みます。
しかし、泳ぐのが早くなかなかうまく入りません。
漁師さんたちも作業を止めてくれ、私たちの捕獲を待ってくれています。そして、1人の漁師さんがたも網で捕獲してくれました。
私たちはそれを受け取り、すぐに担架に収容します。
そこからは帰港までの間、人工呼吸をして、連れて帰ります。
このタイプは泳ぎながら呼吸をするため、早く水族館に戻ることが望まれます。
漁師さんも気にかけてくれ、普段だったら止めてしまう水が出るポンプを動かしてくれ、帰港まで人工呼吸が出きるようにしてくれました。

漁師のみなさまに感謝し船を後にして、水族館へと戻ります。
水族館に到着後、バックヤードの水槽にリリースすると元気に泳いでいます。
ようやく安堵です。

SHARKS“えのすい”のサメ展に向けた最初の一歩! いい滑り出しをすることができました!

開催まであと 18日!
準備が続きます!
※生物の状況により展示を変更する場合もございます。ご了承ください。

バックナンバー
2023年2月23日 SHARKS “えのすい”のサメ展への道 1

※2023年5月28日をもちまして「SHARKS“えのすい”のサメ展」は終了いたしました。

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