2023年03月09日
トリーター:白形

出版記念シンポジウム開催報告

2022年 8月に「海獣診療マニュアル上巻/鯨類の診療編」、2023年 1月に「海獣診療マニュアル下巻/鰭脚類・海牛類の診療編」を出版しました!
そして、2022年 9月25日に上巻の出版記念シンポジウム、先月22日には下巻の出版記念シンポジウムをおこないましたので報告させていただきます。

この本の出版計画が出たのは2020年10月のこと。
以前から診療協力をいただいていた植草先生と、沖縄美ら海水族館の植田先生の「本を作ろう!」という提案から始まりました。
水族館で必要とされているのは「写真をたっぷり含んだマニュアルでは!?」という話になり、そこからまずは出版社探しです。
水族館の獣医師は全国で約50人程度とされており、とてつもなくニッチな世界です。そんな需要の見込めない本を出版してくれるといってくれたのが、学窓社さんでした。

こうして出版社も決まってからが、本番でした。
必死にみなで原稿を仕上げ、必要な動画や画像をトレーナーたちに頼み込んで撮り直し、不足分は他館にお願いして画像提供していただき、何度も何度も確認をしながら進めていきました。総監督的な立場である植草先生からのメッセージの通知音がなるたび、「原稿催促の連絡!?」と通知音恐怖症になりかけたのも、今となってはいい思い出です。そうやって長い戦いを経て、実物を手にしたときの喜びはひとしおでした。

そして迎えた上下巻の出版記念シンポジウム。
9月は「なぎさの体験学習館」で朝早くから、2月は「新江ノ島水族館」で平日の閉館後夜遅くまでと、本当にお客さまに来てもらえるのか・・・と不安でした。
しかし当日蓋をあけてみると、イルカが大好きな 6歳の女の子から獣医学生、水族館で働くベテラン獣医師や飼育員などさまざまな方々が参加してくれました。初回のシンポジウム後、場所を変えておしゃべりタイムを設けましたが、本を手に取って読んでくれている人たちから生の声を聴くことができ、私たちも感慨深かったです。
ご参加いただきありがとうございました!

上巻シンポジウム上巻シンポジウム下巻シンポジウム下巻シンポジウム

この本の使い方として、

・今後、水族館業界で働きたいと考えている方々には、イメージトレーニングの材料として
・現在働いている獣医師や飼育員の方々には、写真を見ながら検査やトレーニングの打ち合わせに

といったことを想定しています。
このような使い方を通して、海獣診療技術のさらなる向上につながればいいなと感じています。

ご協力いただいた水族館や大学のみなさま、当館スタッフ、動物たちには、この場を借りて御礼を申し上げます。
ありがとうございました。

特上巻や下の下巻のお話も出ておりましたが・・・今後もまた何か形に残せていけたらと考えておりますので、気長にお待ちください。

(右)白形獣医師(右)白形獣医師

RSS