きょうあすにもサクラの開花宣言が出そうな陽気になってきました。
私はくしゃみとはなみずが奏でる“さえずり”?のオンパレードですが、ウグイスも鳴き、他の鳥たちも春の訪れを感じさせる“さえずり”が聞こえてきています。
さて、同じ鳥でもフンボルトペンギンは“さえずる”のでしょうか?
フンボルトペンギンはペンギン類の中では決まった春がない種類・・・繁殖行動を周年おこなえるバイタリティーがあります。
それでも当館飼育の全羽の孵化日を見てみると、
1月 4羽
2月 4羽
3月 6羽
4月 8羽
5月 1羽
6月 2羽
7月 0羽
8月 0羽
9月 0羽
10月 2羽
11月 1羽
12月 4羽
となっていて、春の繁殖期はまんざらでもない感じです。
ちなみに、7月、8月、9月はフンボルトペンギンたちの羽がわり(換羽:かんう)の時期です。同時期に雛を育てるのは、自らも栄養を十分に取らなければいけないのに、雛へも魚を与えなければならない状態で羽がちゃんと生えていないのですから、魚を狩りにいっても効率よく獲れないのです。リスクが大きすぎるため、羽がわりに専念するのだと思います。ただし他の施設では、個体差はあって 9月に羽がわりをするものは 7月くらいまで雛を育てるものもいますし、逆に 7月に羽がわりが終れば9月には産卵できるものもいるようです。
本来“さえずり”とは鳥のオスが、メスの気を引くためや縄張りを主張するための鳴き声を主体とする行動という認識です。フンボルトペンギンではオス 一羽で恍惚(こうこつ)のディスプレイという鳴き声をあげますが、それにメスペンギンが誘われて寄って来ているようには思えないのです。
“さえずり”とは意味が違うのですが、フンボルトペンギンは番(つがい)のオスメスで一緒にコーラスをおこなう行動、相互(そうご)ディスプレイがあります。番(つがい)の絆を確かめて、縄張りを主張する行動ですが、盛り上がっているときでは、一番(ひとつがい)が鳴き始めると、それに感化されるのか、他の番(つがい)もランダムに鳴いていく相互ディスプレイの鳴き合いループが発生し、ペンギンプールの中ではもはや人同士が会話するのは無理なくらいうるさい状態になります。
どちらかというと、この行動のほうがフンボルトペンギンの繁殖絶頂期というイメージなのです。
マスクも緩和されました、みなさんも大きな声で愛を語り合ってはいかがでしょうか。