2023年06月18日
トリーター:羽田

「モミジ」の採血トレーニング

先月のトリーター日誌 の最後に、コツメカワウソの「モミジ」が採血のトレーニングをしているとお伝えしました。
今回はそのようすをお話しします!

動物たちの健康管理のために、血液検査をすることは非常に重要です。
「モミジ」も検査ができるよう、採血用の針を刺しても大丈夫なようにトレーニングを始めています。

動物の種によって採血する部位は違います。
血管は体のさまざまな場所にありますが、動物も人も安全に採血をおこなうために、どの部位で採血をしたら良いかを決めています。

鯨類なら尾鰭、鰭脚類なら後肢の付け根や後肢の鰭から採取することが多いです。

では、カワウソはどの部位で採血をするか。
“えのすい”では「前肢」から採血をしようとしています。

カワウソに格子の間から前肢を出してもらい、握手するようにトリーターの指を握ってもらいます。
その状態を維持して、獣医に針を刺してもらいます。

トリーターや獣医とカワウソの間に格子があるので、お互いに安全。
「モミジ」もこのやり方でトレーニングをしています。

トレーニングをするにあたって、他の水族館へ見学に行ったり、知り合いのトレーナーに連絡を取って話を聞いたりしました。
そして当館のカワウソ担当といえば、濱田トリーター!
もちろん濱田先輩にもアドバイスをもらいながらトレーニングをしています。

最初から前肢を出してトリーターの指を握るのは得意だった「モミジ」。
でも、トレーニング開始当初は指を握ってもすぐに放してしまいました。
少しずつ握っている時間を長くしていくために、「モミジ」が握りやすい体勢や場所を探して、そこで時間を長くしていきました。
比較的握っていられる時間が長くなったら、今度は立った状態で前肢を出して指を握れるようにトレーニングしました。
このトレーニングに対して「モミジ」はとても意欲的で、あれよあれよという間にトレーニングは進んで、今は握っている時間をもっと長くすることと、血管を見やすくするために他のトリーターが「モミジ」の前肢を握っても大丈夫なようにトレーニングをしています。

トリーターの指を握っているのはこんな感じです。

「モミジ」が見つめる先には私がいます!
私の目をとても良く見てくれています。

とにかく大切なのは、「モミジ」がこのトレーニングを嫌いにならないよう、少しずついろんなことに慣れてもらうことです。

こちらがこれをやりたい!
と思っていても、「モミジ」の状態は日々違ったりします。
よく観察をして、「モミジ」のきょうはここまで大丈夫だよ!これはまだ無理だよ!のサインを見逃さないようにトレーニングをしていくよう心がけています。

私自身、カワウソの採血をトレーニングするのは初めてなので日々勉強。
まだ時間がかかると思いますが、地道な一歩を積み重ねて「モミジ」とゴールまでたどり着こうと思います!

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