2023年08月24日
トリーター:伴野

数字で見るバンドウイルカ「シリアス」と「ミライ」の経歴

みなさん、こんにちは!
先日、羽田トリーターの日誌で親子バンドウイルカ「シリアス」と「ミライ」がついに親離れ、子離れをしましたと紹介していました。羽田トリーターの日誌ではエモーショナルに書いていたので、私は今後のためにも、数字でこれまでの親子の経歴を振り返ります。(出てくる図表の書式がばらばらだったり、汚いのはご了承ください…)

1、人工授精実施日から出産日までの日数(妊娠期間)
実施日2019年 4月 5日(出産日まで382日)
実施日2019年 4月 7日(出産日まで380日)
実施日2019年 4月 8日(出産日まで379日)
排卵日2019年 4月10日(出産日まで377日)

2、妊娠~子育て期間中の「シリアス」の給餌量

「シリアス」は妊娠前(通常時) 1日約15㎏の魚を食べていましたが、妊娠期間は摂餌意欲にむらがあり、会いにいくたびに食べたり、食べなかったりと、一喜一憂したことを思いだしました。
出産後は見る見るうちに魚を食べるようになり、通常時よりも1.5倍程度の魚を食べています。これだけ食べていても体重を維持するのに必死でした。子育ては命がけだと「シリアス」を見ながら感じていました。ちなみにこのグラフには載せていませんが、子離れした現在の給餌量は12.5㎏です。

3、妊娠期間中の「シリアス」の胴回り

母獣の餌料を決めるために胴回りを測定していました。妊婦さんも出産に近づくにつれてお腹がおおきくなりますよね。
本来餌量決定には体重がとても参考になるのですが、私の力量不足で妊娠中期ごろより体重測定できなくなってしまったので、餌量は胴回りが緩やかに上昇するように決めていました。過去に「シリアス」が妊娠していた際、出産前の胴回りは約170cm程度でした。「ミライ」妊娠中もそれに向かって減りすぎたかな~、増えすぎたかな~と試行錯誤していました。約100日前頃より値が減少しているのは、給餌量を落として調整したためです。出産直前には約180cmまで大きく上昇しています。いきなりこんなに増えることはないと思われるので、母胎内で胎児が出産に向けて位置を変化させているのかもしれません。

4、出産直前の「シリアス」の体温と乳裂間幅の変化

体温、乳裂間幅ともに出産直前に有意に変化しました(とても変化するという解釈でOKです)。赤文字が「ミライ」出産前に確認された有意な変化です。これらの出産兆候を確認しながら24時間体制で観察し出産に備えました。

5、産まれた時間と初めての授乳時間
2020年4月21日
19:26 生殖孔から尾びれが少し出始める
20:54 出産
22:53 初授乳確認

きょう生まれるだろうな~と思いながらも、帰宅し家でお赤飯を食べていたら尾びれが出たと電話が鳴り、急いで水族館に戻りました(笑)
コロナ禍での出産だったので必要最低人数で出産を見守りました。

6、初めてそれぞれのプールに移動した日
隣のプール :2020年 4月24日(産後 3日目)
メインプール:2021年 4月 7日(産後352日目)
幼少期からさまざまな経験をしている「ミライ」は初めてのメインプールも余裕そうでした。

初めてメインプールに合流した日のようす初めてメインプールに合流した日のようす

7、初めてのイルカショー参加
2022年 1月13日(産後633日目)

左「シリアス」/ 右「ミライ」左「シリアス」/ 右「ミライ」

一瞬の出演でしたが、親子でしっかりとショーに参加できました!

8、親離れ子離れの日
2023年 8月 8日(産後745日)
親子を別々のプールに移動後、「ミライ」の方がすぐにけろっとしていましたが、「シリアス」はしばらく「ミライ」がいるプールの方をずっと覗いていました。出産後、子離れのときまで子育てをしてくれた「シリアス」に感謝です。過去には子どもとの死別もあった「シリアス」の姿を見てきたので、元気なまま子離れを迎えることができて嬉しさ半分、さみしさ半分です。

「シリアス」と「ミライ」は“えのすい”にとって「初」のことをたくさん経験させてくれました。これらを今後の鯨類飼育に活かしていくために記録をしっかりとまとめていきます。「シリアス」と「ミライ」には飼育員としてのやりがいと素晴らしい経験をたくさんもらいました。
これからもよろしくお願いします!

それでは本日はこの辺で!

イルカショースタジアム

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