2023年10月03日
トリーター:園山、山本、渡部

第17回 NCB高知大会

園山: 今回は、えのすい初(?)3人でのトリーター日誌です!
9月中旬に、山本トリーター、渡部トリーター、私の3人で、一緒に高知県で開催された日本刺胞・有櫛動物研究談話会(通称「NCB」)という研究会に参加してきました。朝眠い目をこすりながら空港に集合し、山本トリーターが荷物検査で四苦八苦する緊急事態もなんとか乗り越え、高知の地に降り立ちました。

刺胞・有櫛動物といわれても一般的には聞きなれない言葉だと思いますが、簡単にいうとクラゲとサンゴの仲間です。
ミズクラゲやイソギンチャク、宝石サンゴと呼ばれているサンゴなどは刺胞という毒針を持つ仲間で、刺胞動物と呼ばれます。
対して有櫛動物は、ウリクラゲやカブトクラゲなどに代表される仲間で、櫛板というものを持つ特徴があります。
日本刺胞・有櫛動物研究談話会は、それらクラゲ・サンゴ類を研究対象にした、若手からその業界のレジェンドの全国の研究者が集まる機会で、今回で 17回目を数えます。

私がこの研究会に初参加したのは 2008年の会で、会場はなんと“えのすい”でした。
研究対象が刺胞動物のヤギ類(メェ~となく哺乳類では無い🐐)という生き物で、まだまだ知識が浅く、どきどきして参加したのを、ついこの間のように思い出します。

今回は相模湾で見つかった日本初記録のヤギ類の話をしましたが、このヤギ類というサンゴの研究者は、国内に片手で数えるほどしかおらず、この研究談話会は貴重な意見交換の場です!
結局日本でまだ報告の無い種ということは良さそうですが、これまで知られている種なのか、もしくは未記載種(まだ新種として報告されていない種)か、今後慎重に精査していく必要がありそうです。
このような研究会に参加すると、自分の研究対象以外にも興味深い生き物がいるのが知れ、自分のモチベーションアップに繋がりますね!
さてさて、私の話はこのくらいにして、次は以前黒川トリーターに「クラゲ界の申し子」と言わしめた、山本トリーターにバトンタッチです!


山本: 第17回 NCB 高知大会ー!!こんにちは。決して空港の荷物検査で四苦八苦なんてしていません、山本です。
ずっと前から楽しみにしていた久しぶりの NCB!
今回の主催者は、いつもクラゲ研究でとてもとてもとてもお世話になっている黒潮生物研究所の戸篠さんです(最初の写真左から二番目)。
これは参加しないわけにはいきません・・・!
今回私は「アオミノウミウシ」について発表をしてきました。本種は刺胞動物でも有櫛動物でもありませんが、カツオノエボシなどの刺胞動物を食べる「捕食者」として、深く関わりのある生き物です。“えのすい”で現在展示中のアオミノウミウシですが、飼育中にいろいろと面白い行動が見られています。
諸々の関係で今はまだここで紹介できませんが、はやくみなさまに見ていただきたいことがたくさんありますのでお楽しみに・・・!
その代わりといっては何ですが、今回の出張中に撮った写真をいろいろ貼っていきます!

道中の道の駅でタコクラゲが売られていました(一瓶に 5個体くらい入っていて 900円)。

集合時間前に少しだけ時間があったので、四万十川の近くの水路で生物調査をしてみました。園山トリーター、観察ケース越しのいい笑顔です。

個人的に川でガサガサ採集をよくするのですが、ヤリタナゴが採れたのは初めて!美しさに惚れました。

NCBの3日目は、サンゴ班とクラゲ班に分かれ、フィールドで観察や採集をおこないました。
私と渡部トリーターはクラゲ班として近くの漁港を巡り、クラゲ採集をしてきました。とある漁港ではタコクラゲが大量発生していたので、試しに水中カメラを沈めてみました。さてさて、どんな映像が撮れているかな??


やっぱり野生のタコクラゲは迫力がありますね・・・!とても良い感じです。

他にはベニクラゲムシというクシクラゲの仲間も採集することができました。現在バックヤードで育て中です。展示の準備をしていますので、もう少々お待ちください!

出張でどこかへ行くたびに、現地の自然と遊ばせてもらうようにしています。きっとこういう経験がいい展示につながるはず・・・! もっともっと経験を積まねば。
では、山本のターンはこれくらいにして、今回 NCB初参加の渡部トリーターに代わりましょう。


渡部: 園山トリーター、山本トリーター、思い切り楽しんでいましたね~!私も、出発の前日は楽しみすぎてほとんど眠れませんでした(楽しみにしていたのは本当ですが、発表の準備に力が入ってしまい眠れなかったのです・・・)。
私は、「高知県初記録のハナアカリクラゲ」という題で発表をおこないました。
研究の詳しい話はここでは書ききれないので、また今度書きたいと思っています。今回初参加ということで、うまく発表できるか心配していましたが、発表後の質疑応答のときに、研究のアドバイスや他の水族館での展示に関する情報をいただくことができました。
さらに懇親会のときに、このクラゲに関する情報をいただけないか他の水族館の方に直接確認することもできました。私は学生時代をコロナ禍で過ごしてきたので、対面で意見交換をできることの大切さを改めて感じることができました!
3日目のクラゲ採集では、各水族館のクラゲ担当や研究者、学生のみなさんと夢のような時間を過ごしました。
特に、各水族館流の採集方法があるようで、みなさん思い思いに採集されていたのが印象的でした。
クラゲだけでなく、予想外のゲストも採集できました。

ナンヨウツバメウオの幼魚🐠
さて、園山トリーターはどんな3日目を過ごしたのでしょうか?


園山: 再び園山です。最終日、山本トリーター、渡部トリーターと分かれて、私は帰りの飛行機までの時間、高知の海に潜ったり、川でハゼの仲間を採集したりしました。

高知の海には何度か潜った経験がありますが、相模湾とも沖縄などの南の海とも違うサンゴが見られたり、川には一網で数十匹のハゼたちがすくえる場所があったり、高知の魅力をたっぷり堪能しました!
この経験を今後の研究にも、展示にも活かせそうです!


園・山・渡: NCB高知大会はとても濃く、有意義な時間でした!
今回経験したことすべてを身につけ、これからの展示に反映していきます。よーし、頑張るぞーー! みなさまお楽しみに!

最後になりましたが、今大会を運営してくださった黒潮生物研究所のみなさま、本当にありがとうございました!

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