2023年11月08日
トリーター:矢作

“えのすい”愛玩動物看護師の仕事4

こんにちは! 愛玩動物看護師の矢作です。
今回は“えのすい”の生き物たちのレントゲン検査について少し詳しくお話しします。

まず、レントゲン検査とは、X線検査とも呼ばれ、X線を患部に照射し、各臓器や組織のX線量の差を可視化し、身体の内部を画像化するものです。レントゲン画像は白と黒で表示され、X線が通りにくい場所(骨など)は白く、通りやすい場所(肺など)は黒く、そのほかの臓器はグレーに見え、臓器の位置や形、大きさなどが分かります。また、レントゲン検査では一般的に、骨折やヘルニアなどの骨の異常、肺や胸部の異常、腫瘍、妊娠の有無や胎児の大きさと数、誤飲、歯や口腔内の異常、尿路(結石の有無)などを確認することができます。
レントゲン検査は当館でも、多くの生き物に対して積極的に活用している検査の一つです。

●ウミガメ
例えばメスのアオウミガメ「ノンキ」のレントゲン画像を見てみましょう。
大人のウミガメの体は大きく、体全体を 1枚に写し出すことができないので、検査に必要な部位を撮影していきます。

何を確認したいか…みなさん、わかりますか?
左上の部分を拡大してみます。

よく見てみると、黄色い矢印の部分、白く丸いものが写っています。
実はこれ、「卵」です!
産卵前のメスのウミガメのお腹からはこのように卵があるかどうか、確認することができます。

続いては、こちら!

アカウミガメの子どもです。

仔ガメは、カセッテと呼ばれる板の上でなかなかじっとすることができませんが、ぴたっ! と静止した瞬間を逃さず、撮影します(ここは獣医師の腕の見せどころ)。
体の大きさや体重など、観察して分かる成長と併せて、骨や臓器など、体の中の成長具合も定期的に検査します。

●ペンギン
当館のペンギンたちは健康管理のために、全羽を対象に採血やレントゲン検査、内視鏡検査などを定期的に実施しています。
ペンギンのレントゲン検査は、呼吸器系の病気の診断や骨関節の評価、異物誤飲などに有用とされています。より診断の精度を上げるため、複数方向からの撮影を実施します。

こちらは 6歳のオスのフンボルトペンギン「テン」のレントゲン画像です。
VD(仰向け)とラテラル(左下) 2方向の画像ですが、異常は認められませんでした。

フンボルトペンギンの「テン」フンボルトペンギンの「テン」

レントゲン検査の撮影(X線の照射)や画像診断は獣医師の仕事ですが、レントゲン撮影の事前共有、準備や片付け、撮影の際の生き物の保定、データ処理などは私も一緒に行います。他の生き物のレントゲン検査についても、またご紹介しますね!

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