2023年11月09日
トリーター:加登岡

実物に見て、触って分かること

前回トリーター日誌を書いたときに、相模湾大水槽で暮らしているドタブカとクロヘリメジロザメの違いを紹介しました。
本日、漁師さんよりメジロザメの仲間の標本をいただきました。
メジロザメ科の仲間はどれも似ていて分類が難しいのですが、今回入手したサメも比較してみましょう。
今回はこちらです。

全長は 80cmほどの仔ザメです。
写真でぱっと見てわかりますでしょうか?
私も漁師さんにいただいたときに「○○ザメ」かな、と思いましたが、自信はなく、水族館に戻ってから調べてみました。
ただ、“えのすい”で飼育してるメジロザメ科のドタブカ、クロヘリメジロザメ、ツマグロとは異なることだけは確実でした。

まずは、吻先(ふんさき)を見てみましょう
左から今回のサメ、ドタブカ、クロヘリメジロザメです。明らかに吻先(ふんさき)が尖がっています。

また、第 1背びれと第 2背びれの間の背中部分が隆起しているかどうかも、種類を同定するための大切な形質になります。
今回はというと、隆起はありませんでした。

これで種類が限られてきます。
また、歯の形状も見たところ、上下とも似たような形をしていました。
ただ上手く写真が撮れませんでした…

変わりとはいっては何ですが、前回の日誌で、相模湾大水槽で歯を拾っていると書きましたが、今回上顎の歯をゲットできました! そして、上下揃えられました! 形状から恐らく、この上下の歯はクロヘリメジロザメの物と思われます。
クロヘリメジロザメは上下で形状が違いますよね。
ちなみに今回のサメはこのクロヘリメジロザメの下顎の歯に似た形の歯が、上下でありました。
その他にも胸びれと第 1背びれの位置関係や、第 2背びれと尻びれの位置関係などで種類を絞っていきます。
ここまでで 2種類に絞られましたが、最後に第 1背びれの高さは第 1背びれと第 2背びれ間の長さの 2.8倍ほどあり、これで種類が特定できました。

ということで今回のサメは「ハナザメ」と同定しました。
“えのすい”がハナザメの標本を手に入れるのは初めてでした。また、私自身も初めて実物を触りました。
最近このメジロザメ科の仲間の見分けができるように勉強中で、そのタイミングで実物に出会うことができ、予想も的中できました!
このハナザメは成長にともない、ひれの先端が黒くなり、色彩が変わります。そのため、成長の段階によってはカマストガリザメやホウライザメなどと見間違いそうなります。
写真だと分かりづらい部分も、実物を見ると違いが分かることが多いです。
今後も実物を見て触って勉強していきます。また、新たなサメ情報があればみなさまにお伝えしますね。

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