2023年11月21日
トリーター:大内

できるんです!

“えのすい”にいる生き物たちにとって健康管理はかかせません。
体調が悪ければ休ませたり、怪我をしてしまったら消毒をするなど、その時々でさまざまなケアを生き物たちにします。

また、そういった症状が出る前に、日頃から健康状態を把握するために、採血をしています。鯨類では尾びれ、鰭脚類では後肢、カワウソは前肢、ペンギンは翼から採血をします。では、カピバラはどこから?…。
という前に、そもそもカピバラって採血できるの? という疑問がある方もいるかと思います。

採血、できるんです!

しかもトレーニングをして、採血に協力してくれるんです。

採血は痛みが伴うものが多く、それを嫌がって逃げてしまったり、私たちに近づかなくなってしまう生き物もいます。
カピバラの「ヒナタ」はトレーニングを重ね、前肢から採血させてくれるんです。

採血は餌をあげる人、前肢を押さえる人、そして針をさしてくれる獣医さんの 3人でやります。
まず、コンテナの上に乗ってもらい、腰を下げてもらいます。犬でいう“おすわり”の姿勢です。
そこから、前肢を押さえ消毒をして翼状針と呼ばれる針を刺します。刺した直後に足を引くこともありますが、採血とわかってコンテナに乗らなかったり、降りて逃げ出したりということはなく、落ち着いて座っていてくれます。落ち着いているところで好物のカボチャをあげると、満足そうに頬張る姿はなんともいえないかわいらしさがあります。

そうして落ち着いている間に前肢に針を刺して採血をするのですが、針が血管に当たらないと血が採れません。特に「ヒナタ」は暖かい季節は問題なく採血できるのですが、寒くなってくると血管が委縮するのか、なかなか血が採れなくなってくるんです。今月も中旬から寒くなってきたせいか、一度採血を試みたのですが、残念ながら血が採れませんでした。採血のときは針を刺し過ぎると嫌な印象がついてしまうので、そうなる前に止めて、別の日に試みるようにしているんです。
そしてきょうが採血リベンジの日だったのですが、結果は…。


敏腕獣医さんのおかげで無事に血を採ることができました。
そして、毎度のことながら落ち着いていてくれている「ヒナタ」に感謝です。この採血、ヒナタの協力なくしてはこんなにすんなりできません。

これから寒いシーズンに突入して、なかなか血が採れにくくなっていきますが、採血できるできないにこだわらず、協力し続けてもらえるように「ヒナタ」との信頼関係をより深く築いていこうと思います。

カピバラ~陽だまりの草原~

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