2023年12月06日
トリーター:矢作

研修にいってきました! 続編

愛玩動物看護師の矢作です。
今回は、「2023/10/28 研修にいってきました!」の続編です。
沖縄美ら海水族館での研修についてご紹介しましたが、一体どんなことをしていたのか、もう少し詳しくお話しします。

●投薬方法の検討
研修初日。沖縄美ら海水族館では、ある個体(鯨類)の治療に、液体の薬を導入しようとしていたのですが、これを動物たちに、いきなり毎日決まった量を投与するのって実はなかなか難しいのです。錠剤やごく少量の液体の薬であれば、餌の魚に詰めて与えることができますが、薬の量が多くなると魚から漏れ出てしまい、適切な量を投与することができません。
当館では、「2023/05/18 ミライの健康管理」でもお話ししましたが、液体の薬はゼラチンと混ぜてゼリー状にして与えているので、今回は一緒にそれをトライしてみることにしました。
急遽のことだったので、他チームからゼラチンをお借りし、部屋の隅々からゼリー作りに使えそうな道具を集めました。

今回扱うのはどろっとしたタイプの薬です。湯煎しながら少しずつゼラチンと混ぜていきます。

今回は検証なので、水とゼラチンの割合が異なるものを何種類も準備します。その個体の食べやすい、かつ、私たちの取り扱いのしやすいゼリーの硬さを見つける必要があります。また、右側のトレーには“薬のみ”と“薬とゼラチンを混ぜたもの”を冷凍して氷にしてみることも試してみました。もちろんこちらもいくつか濃度の違うものを準備します。
多くのスタッフたちが絶対に食べる! と思っていたようですが、結果は惨敗。やはり普段食べているものと違う形や硬さ、舌触りなどから、口の中に入れた瞬間に異物とみなされてしまったみたいです。安定して食べてもらえるようになるには更なる工夫が必要です。

●鯨類の血液塗抹検査
血液塗抹検査は、“えのすい”では基本的に個体の体調不良時におこなうのですが、沖縄美ら海水族館では定期検査の際に必ず実施していました。
鯨類の血液は、ライト・ギムザ染色変法にて塗抹を作成します。

染色したスライドは、流水で流した後、ドライヤーを使ってしっかり乾燥させます。

顕微鏡下で塗抹標本を観察します。細胞の形態を観察し、腫瘍細胞の有無や、寄生虫・細菌感染などがないかを確認します。

滞在中、動物健康管理室のメンバーのみなさんには、大変お世話になりました。また仕事でご一緒できる日を楽しみにしています。

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