2023年12月31日
トリーター:今井

ジキン(地金)が入賞!

私の趣味の一つは金魚の飼育です。そのため金魚展担当の機会をよくいただきますが、期間限定ということもあり、できる限り鑑賞価値が高く認められた個体を厳選して、お客さまにご覧いただくようにしています。

大晦日に今年を振り返っての朗報は、それら金魚の中からジキンが10月に「愛知県天然記念物 地金特別優秀魚指定審査会」にて 2位、3位、4位と続けて入賞したことでした!

~上見で魅せる金魚たち~展示中!(2021年6月13日)

2年前に展示した個体が全て立派に育ちました!2年前に展示した個体が全て立派に育ちました!

ジキンは人工調色を施され白くなった体と、赤いまま残った口や頬および各ひれの「六鱗(ろくりん)」模様で、短い尾柄からX字状に開いた尾びれを持っています。

当審査会にて 2位入賞の個体当審査会にて 2位入賞の個体審査会が行われた岡崎市の岡崎公園審査会が行われた岡崎市の岡崎公園生産者自慢のジキン約60尾が勢揃い生産者自慢のジキン約60尾が勢揃い

これらのジキンは正確には「四尾の地金(よつおのじきん)」と呼ばれ、昭和33年に愛知県の天然記念物に指定されています。
かつては、毎年審査会で上位に入賞した個体のみが天然記念物の指定を受けられたのですが、そのような最高ランクの金魚をお客さまにお見せできたことはとても喜ばしいです。

これらは 6月のテーマ水槽「紫陽花金魚」の際にも、ギンギョ(銀魚)展示でお世話になったM氏が生産した個体です。ところが金魚の飼育は趣味の範疇であって、本業は水産関係とは全く異なるのですから、その技術と探求心には本当に頭が下がります!

M氏のジキンにおける表彰M氏のジキンにおける表彰

ところで、天然記念物のジキンを売ったり買ったりして良いのかな? と思われる方も多いのではないでしょうか。
一般に文化財保護法に違反してしまうのは、「その現状を変更し、またはその保存に影響を及ぼす行為をしようとするとき」です。ジキンは尾張や三河地方でお侍さんの時代から長く継承されている鑑賞魚ですから、生業にする方が居られるのが現状です。また、今では保存会をはじめとして安定した管理と個体数が維持されていると思われますので、問題は無いのでしょう。

金魚展を通して「あの金魚! とってもきれいだったな~!」と、お客さまの思い出にしていただくことは癒し効果だけでなく、文化財としての価値も僅かながら伝わっていくのではないか?! と可能性にときめいた次第であります。

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