↑このタイトルで、私がトリーター日誌を書くのは、実に 3年ぶりでしょうか・・・
この数年、メンダコを入手することはできていましたが、なかなかみなさんに公開できる状態ではなく、数日で残念なことになったり、悪天候やコロナの影響で漁自体が少なく、底曳き船に乗船できない日が続いていました。
今年は海況もよく乗船でき、しかも比較的状態良くメンダコを入手することができました。
乗船のようすや最初の飼育 1週間については、2/7の八巻トリーターの日誌で詳しく紹介しています。
その後のお話をする前に、なぜメンダコをなかなか飼育・展示できないのか、ちょっとふれたいと思います。
なぜ展示が不定期なのかというと、メンダコだけを狙って採集できる生き物ではなく、底曳き漁でたまたま入網した個体を分けてもらって飼育しているからです。そもそも漁師のみなさんは、メンダコではなく深海のエビや魚の漁をしているわけですからね。
漁師の方も、ある程度は過去の漁のデータからメンダコのいる場所は分かっていてくれますが、それでも確実に網に入るかというと、なかなかそうもいかず、全く網入らないときは普通にあります。網に入っても、1、 2個体が普通です。
その中でさらに、傷が少ない状態で海から上がってくることは、本当に幸運なことなのです。
2月 7日からその後、過去に実績のあるサクラエビを与えてみました。
しばらくは、餌を嫌がって逃げる行動が観察されていたので、数日空けて再度給餌を試すなどを続け、10日目にやっとサクラエビを 1匹、口へ運ぶようすが観察されましたが、 2匹目は駄目でした。
※メンダコは、ちゃんと腕にある吸盤で餌を確かめてから、食べるんですよ。
しばらく摂餌がなく、13日目に 1匹の摂餌がありましたが、そのうちに水槽内で泳ぐようになりました。
これまでの“えのすい”での飼育経験から、状態の良いときはどこにいるか分からないくらいにぺったんこになって、さらに良ければ砂や泥をかぶります。
みなさんがよく目にするメンダコのイラストや映像のように、泳ぐようすが頻繁にみられるようになると、状態は悪い方向に向かっていることが分かっています。
飼育開始から16日くらいから頻繁に泳ぐようすが観察され、飼育開始から18日目の 2月17日で展示を終了することになりました。
状態は良かったと思いますが、飼育終了後に取り上げてみると、腕の一部に傷があり、飼育中も比較的身体を浮かせ気味でした。
もう少し、摂餌が継続すれば、良くなってくるかもと思っていましたが、摂餌が継続しなかったことが残念です。
飼育期間の18日間、とても多くにみなさんにご覧いただくことができました。長い列ができる程でした。
これまでのメンダコ展示では初めてのことです。お越しいただいたみなさま、ありがとうございました。
ただ、飼育担当としては一日でも長く飼育できていたらと、まだまだ残念なことは多々あります。メンダコは、本当に飼育の難しい生き物です。まだ、メンダコを入手できるシーズンですので、可能な限りのチャレンジはしていきたいです。
まだまだ、“えのすい”のメンダコチャレンジは続きます。