ハオリムシの仲間を知っていますか?
ハオリムシの仲間は、口もなければ、胃や消化管もない化学合成生態系の生き物です。
体の栄養体という箇所に化学合成をおこなう細菌が共生していて、その細菌たちが海底や鯨骨から湧き出る硫化水素からハオリムシが生きていくためのエネルギーを作って生きています。
そして、ハオリムシはキチン質の細長い管(棲管)中で生活しているミミズ等と同じ環形動物の仲間です。
生まれた幼生は、一度基質に活着すると移動することなく、その場所で成長していきます。
一見すると、たくさんの細い長い管が水槽の中にあるだけのように見えてしまいますが、棲管の先をよく観てみると、赤くてふさふさしたものが出てきます。
そして、ときどきゆっくり引っ込んだりもしています。
この赤いふさふさは、ハオリムシの鰓(えら)で、棲管から出して呼吸をしていると考えられます。
そこで、ファイバースコープを使って、鰓(えら)のようすを見やすくしてみてました。
拡大することで、小さくて分かりづらい鰓(えら)もよく見ることができるようになりました。
鯨骨の上で、棲管から体を伸び上がらせて鰓(えら)をゆっくり伸ばしてくるようすや、振動などに驚いて一瞬にして棲管の中に引っ込むようすを見ることができます。
引っ込んでもしばらく観ているとゆっくりと鰓(えら)を伸ばしてきますよ。
ファイバースコープのライブカメラを通して、少しでも彼らの生活の一部を見てもらえたらうれしいです。
もし興味を持ってもらえたら、ライブカメラだけではなく、水槽の中もじっと見渡してみてください、あちこちでハオリムシたちがエラを出し入れしていますよ。
動きの少ない深海の生き物たちでは、しっかりと生きているその命の動きをぜひ見に来てください。