2024年04月21日
トリーター:渡部

はじめてのムーンジェリー

みなさん、こんにちは。
きょうは、スペシャルワークショップ「ムーンジェリー ~クラゲが教えてくれること~」(以下、ムーンジェリー)というなぎさの体験学習館のスペシャルワークショップの日でした。ムーンジェリーは、人気のワークショップで抽選になることもあります。
実は私も中学 2年生のとき、ムーンジェリーに参加したことがあったので、今回はトリーターとして、参加者のみなさんにクラゲのお話ができるのがとてもうれしく、力を入れて準備してきました。

ムーンジェリーは、なんと、2週間ミズクラゲのエフィラをお家に持って帰り、飼育に挑戦することができます。クラゲのことを深く知ることができる素晴らしい機会です。
以前水村トリーターがムーンジェリーの内容について詳しく紹介していましたので、気になる方はぜひご覧ください。
お家の環境と水族館の設備は全然違うので、もちろんしっかりレクチャーをします。
でも、実際お家に持って帰ると、「どのくらいご飯をあげたらいいのかな」、「全然動かなくなってしまったけど大丈夫かな」、「なかなか大きくならないな」・・・などなど、いろんな不安や疑問が浮かんできます。私がムーンジェリーに参加したときは11月だったので、部屋が寒く、餌のアルテミアをふ化させるのにとても苦労した思い出があります。

きょうは 2週間ぶりに参加者のみなさんと再会し、育てたクラゲを見せていただきました。その間、たくさんの質問をいただき、どのグループの方も、一生懸命飼育に挑戦されていたことが、すぐに伝わってきました。クラゲの大きさや形はもちろんばらつきがあります。
同じ 2週間でも、クラゲの状態、水温、餌の時間などの飼育環境によって成長の度合いは変わります。餌をたくさん食べれば早く大きくなりますし、水温が低ければゆっくり成長します。そこがクラゲの面白いところのひとつです。

ミズクラゲは身近なクラゲで、研究や飼育の基本といわれることがあります。しかし、いざ飼育しようとすると、一筋縄ではいきません。旧・江の島水族館ができた当初は、海で採ってきたクラゲを水槽で維持することも困難でした。それから、餌や水流などさまざまな飼育環境の試行錯誤を何十年も重ね、少しずつ飼育できるクラゲの種類を増やし、今では海外のクラゲや深海のクラゲも飼育しています。


クラゲの飼育研究で多大な功績を残した柿沼好子先生は、ある本の中で「クラゲというものの命を通して何十億年も続いてきた海そのものを見たい」と述べていました。クラゲがどんな環境でくらしているのかをよく観察し、どんな風に生きているのか考えることはとても大切なことです。

ムーンジェリーが、クラゲとクラゲがくらす海のことをより深く知るきっかけになっていたらうれしいです。参加者のみなさん、 2週間お疲れさまでした。

なぎさの体験学習館

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