2024年10月29日
トリーター:黒川

おでかけえのすい 移動の話

みなさんこんにちは!
みなさんは、えのすいでおこなっている「おでかけえのすい」をご存じでしょうか。
「おでかけえのすい」とは、えのすいで飼育している生き物がショッピングモールなどにおでかけする、出張水族館のようなイベントです。
トリーターは、現地へ荷物を運びこみ、水槽やろ過装置を組み立てて海水を入れ、水槽をレイアウトし、生物を搬入します。
水槽を作った後は、「おでかけえのすい」開催中、タッチプールで生物の触り方をレクチャーしたり、水槽の生き物の解説をおこなったりしています。お客さまから「どうやって水槽や生物を運んだの?」という質問をたまにいただくので、きょうはそんな「おでかけえのすい」の裏側の話をしようと思います。

「おでかけえのすい」の展示が始まる数か月前から他のチームと相談し、展示する生き物の種類や数、どのくらいの大きさの水槽をいくつ立てるか、設営(荷物の運び込み~水槽の設置)から撤収(水槽を片付ける)までのスケジュールを組みます。
開催期間が長いときは、水槽の水が汚れて生き物が弱ってしまうので、換水や掃除、給餌のタイミングも併せて考えますよ!
設営に向けて、準備をおこない、開催前日にトラックに荷物を積み込んでいきます。荷物を積み込んだトラックはこんな感じです。

トラックの前方に乗っている、大きな青いものは1トンタンクで、この中に水槽に入れる海水が入っています。その後ろに、水槽や水槽を置く台、運び込むときに使う台車、解説パネルなどが積まれています。この時は、90センチ水槽 1つだったので、かなり荷物はコンパクトですね。もっと大きな展示をおこなうときは、トラック2台で荷物を持っていくこともあります。

こちらは八巻トリーターと準備をしたときの写真です。とにかく荷物を積み切らなければいけないので、水槽を置く台の中など、すき間という隙間を活用しているのが、カメラ目線の八巻トリーターの隣を見てもらうと分かると思います。ただトラックに載せるだけでは、運転の衝撃で荷物が倒れたり、水槽と荷物がこすれて傷が付いてしまいます。なので、がっちり固定されるよう、ロープで荷物を括り付けていきます。これにはコツが必要で、馴れていないトリーターが固定すると、ロープがゆるゆるですぐに緩んでしまうんですよね。

現地に到着し、水槽を組み立て終わったら水中ポンプを使って別のタンクに海水を移します。この移した海水を、設置した水槽まで運んで水を入れるというわけです。
生き物たちはというと、喧嘩しないようバケツに生物の種類ごと入れて、エアレーション(空気を絶えず送る機械のこと)も一緒に入れて、生き物が呼吸できるようにして運びます。

水温は、その生き物に適した水温に合わせるのですが、暑いときは水を冷やすため、生き物の入ったバケツの中にペットボトルの氷を入れて持っていきます。冬の寒い日なら逆に水を温めるため、生き物をビニール袋に入れ、発泡スチロールに詰めたら、一緒にカイロを入れます。

ここを見誤ると、現地に到着してバケツを開けたら、生き物が全滅していた!…なんてことになりかねないので、慎重におこないます。
そうしてトラックを運転して、現地に到着したら水槽設置開始! というわけですね。

こんなふうにして、「おでかけえのすい」の荷物や生物は運ばれているのでした。もしあなたの近くに「おでかけえのすい」がやってきたら、ぜひ生き物たちに会いに来てくださいね!

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