魚たちを水槽で飼育していると、急に「水槽レイアウトを変えたくなる病」にかかることがあります。
私はつい最近、この病に侵されてしまい、いてもたってもいられないくらい水槽のことばっかり考えてしまうようになりました。
すでにいくつかの水槽レイアウトの構想はあったので、すぐに他のトリーターにも共有して準備を手伝ってもらい、さっそく取り掛かることにしました。
レイアウト変更に踏み込んだのは、タカアシガニのいる水槽です。
この水槽にはタカアシガニの他にオオクチイシナギやメダイ、ナヌカザメといった深場に生息する魚類も同じ環境でくらしていて、水温は 10 ℃です。
サウナ後に入る水風呂の温度が約 15 ℃なので、それと比較していただくとだいぶ冷たいのが伝わると思います。
今回はレイアウト変更の第一弾として、高さが約 170cmもある大きな擬岩を入れました。この擬岩は長期間備品として保存されていたもので、かけた水が黒くなるくらいほこりがかぶっており、でこぼことしているため汚れを落とすだけでも一苦労でした。
ただ、一番大変だったのは水槽に入れる瞬間です。
画像を見ていただければその大変がわかるかもしれません。なんとこの水槽に擬岩を入れるには 2.7m上まで持ち上げなければならないのです。
もうこれは筋肉でどうにかするしかありません。結局、擬岩を持ち上げる方法に妙案はなく、大人4人がかりで水槽に入れました。
水槽に入れた後は位置を調整して、紐で動かないように固定します。
水中で 30分くらい作業をしたら体はぶるぶる、ウェットスーツを着ていても頭や手はむき出しなので、めちゃくちゃ寒いです。
潜るたびに、こんな環境で快適に過ごせるなんてすごいなと生物の多様性に感心してしまいます。
そんなことを考えながらも作業は順調に進み、完成したのがこちら。
タカアシガニが擬岩に登るようすもみられ、動きを観察できるようになったので良いレイアウト変更だったと思っています。
今後も生物のため、みなさんに生物の生態や生息環境を伝えるため、そして自分の「水槽レイアウトを変えたくなる病」を落ち着かせるために、より良い展示を目指していきます。
“えのすい”に来たらぜひ見てみてくださいね。