2025年02月07日
トリーター:今井

熱水噴出域に想いを馳せて~チムニーを作ってみよう!~

寒い日が続いてますね。
当館では、「えのすいの深海展」(4月6日まで)が開催中ですが、こんな時期ですから私の推しは海底温泉のような「熱水噴出域」(深海Ⅰ)です!

実際の熱水噴出域ではマグマによって熱せられた300℃以上にもなる海水が噴出しています。たくさんの鉱物が溶け込んでいるので、深海の冷たい海水によって急激に冷やされると結晶化して、長い年月をかけて構造物を作っていきます。この噴出孔を持つ構造物は大きなもので30m以上にもなり、黒い煙を吐く煙突にも見えるために“チムニー”と呼ばれています。
まるで砂漠のオアシスのように、深海ではチムニーを足場にして、それらしい和名を持った生き物が群がって暮らしています。

煮えくり返った熱湯→タギリカクレエビ…鹿児島湾の水深80~100m等に生息煮えくり返った熱湯→タギリカクレエビ…鹿児島湾の水深80~100m等に生息釜茹での刑→ゴエモンコシオリエビ…沖縄トラフの水深1,000m等に生息釜茹での刑→ゴエモンコシオリエビ…沖縄トラフの水深1,000m等に生息大原庄助さんの朝湯→オハラエビ…相模湾初島沖の水深800~1,000m等に生息大原庄助さんの朝湯→オハラエビ…相模湾初島沖の水深800~1,000m等に生息

熱気感じる和名ですよね~。

寒がりな私は展示水槽に疑似チムニーを作って、熱水噴出域に想い馳せて温まっていますが、ご覧になられた方から、どんどん煙が(砂が)噴き出してるようだけど、どーなってんの? とよく聞かれます。
そこで、仕組みは簡単ですので、今回は作り方をご紹介いたします!

[工作用の材料]
1,小型水中ポンプ
2,細めのホース
3,細かい砂
4,ステンレスクリップ
5,ビニールテープ
6,擬岩など

ホースにニッパーで斜めに切れ込みを入れて、砂の吸い込み口を作りますホースにニッパーで斜めに切れ込みを入れて、砂の吸い込み口を作りますできた突起を内向きに保つために、曲げたクリップで押さえて、ビニールテープを巻きますできた突起を内向きに保つために、曲げたクリップで押さえて、ビニールテープを巻きますホースを繋げた水中ポンプを、砂が吸い込まれないように設置しますホースを繋げた水中ポンプを、砂が吸い込まれないように設置します

水槽に擬岩とレイアウトすればできあがりです

うまく砂を舞い上げ続けるには、ホース径、ポンプの力、砂質、吸い込み口の形状等で、細かいバランスとりが重要です。
この仕組みを別のものに例えるなら、砂中に埋まったリコーダーの“中部管”側から強めに注水して、その勢いで“窓”から砂を吸い込み、“吹き口”から砂の混じった水を噴出させているようなものです。

当館の中では、とても小さな展示水槽となりますが、お客さまにご覧いただくものですから、可能な限り趣向を凝らしています。
例えば、塩分を濃くして砂の落下速度を遅くすることで、規模を大きく感じさせたり、ブラックライトを当ててわずかに混じる白い粒子に反射させて、スモークの奥行き感を出したり、反射率がほとんど無い背景板を使ったり等、どこまで伝わっているのか分かりませんが、やれるだけやっています!


深海Ⅰの疑似チムニー水槽

みなさんが自家アクアリウムで楽しむときは、小型の水槽ほど落下した砂が吸い込み口に戻って来やすいのでおすすめです。また、ポンプを止めた時に砂が詰まってしまうことがありますが、わざわざ掘り返さなくてもスポイト等でシュコシュコと内部の水を動かして復旧を試みてください。
昔から知られた技術ですので、アクアリウムでも応用して楽しんでいただけたら幸いです!

遠慮はいらないーから~♪ 温まってー行きーなよ~♪ ∬´ .)

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