みなさんこんにちは!
少し前になりますが、1月 31日にフンボルトペンギン「ヒカル」と「アカリ」の骨格標本を作製してきました。
「ヒカル」と「アカリ」は、当館で 2023年に亡くなったペンギンです。
8月末にもまる一日作製に取り掛かっており、今回はその続編となります。
前回からあっという間に数か月が過ぎ去った気分です。
8月におこなった標本作製についても、トリーター日誌にて紹介しておりますのでよかったら読んでみてください。 [ 2024年09月12日 骨格標本 ]
前回は、脊椎の角度決定とその脊椎間の固定、胸骨・鎖骨部の固定、骨盤・大腿骨・膝蓋骨の固定、足根骨関節の固定をおこないました。
今回は新たに肋骨を固定する作業に取り掛かりました。肋骨は我々人間も持っている胸の中の臓器を守ってくれる骨格ですが、鳥類の肋骨はみなさんのものとは少し違いがあります。
鳥類の肋骨は、胸骨に接している肋骨と脊椎に接している肋骨があります。また脊椎側の肋骨には肋骨壁を強固にする鉤状突起と呼ばれる扁平な骨が付着しています。
作製は、胸骨と肋骨の固定、脊椎と肋骨の固定、肋骨と鉤状突起の固定の順に進めました。
今回は 2回目の骨格標本作りともあり、初回に比べるとスムーズに作業を進めることができたように思えます。とはいっても、やはり細かい作業なので、苦戦する箇所も多々ありました。
肋骨を固定できたら、いよいよこれまで作製してきたパーツを一つに統合させる作業です。左右の後肢のバランスを確認しながら、角度を微調整し骨盤に合わせていきます。
どうでしょうか! 横から見るとこんな感じです!
発泡スチロールを台座にして立たせてみると、いよいよ完成が見えてきました!
残りは胸骨と前肢、そして頭部の固定です。
まずは胸骨の固定から取り掛かりました。胸骨もこれまでと同様に木工ボンドやグルーガンを使って固定を試みましたが、どうしても胸骨の重さに耐えられず脊椎が倒れてきてしまい、接着させることができませんでした。そのため、このパーツではワイヤーを使用する方法にしました。ペンギンは写真のように首の骨が湾曲しているので、この部分にワイヤーを用いて胸骨を吊るします。
続いて前肢です。
前肢を構成する上腕骨は、肩甲骨と鳥口骨の 2つの骨と接しています。これらも、これまでのように左右のバランスと関節位置、角度に気をつけ固定します。
そして、最後に環椎(第一頸椎)に頭蓋骨を合わせて完成です!!
写真は完成した「アカリ」の骨格標本になります!
今回、「アカリ」と「ヒカル」の標本作製にあたり一連の工程に携わることができました。
標本を完成させるという貴重な経験をすることができたとともに、生前からたくさんの方に愛されていたと聞くこの 2羽の標本を完成させられたことを大変うれしく思います。
今後、これらの標本をみなさまにもお見せする機会があれば良いなと思っております。